信じる者は救われたい5-1
【第5話】哀れ?遊ばれる人
タチが悪い…
実に…タチが悪い…
子供というのは純粋であるが故に、その行いはあまりに残酷で、時には大人達は目を瞑りたくなるような場面に遭遇する事がある…
それを思うと人は、つい考えてしまう…
人とは本来、この現代の価値の中では酷く残酷で、そして汚く…そしてあまりに脆く儚い生き物ではないのかと……
だが間違ってはいけない…
人は学ぶ事が出来る…
たとえ醜くあまりに稚拙な動物であったとしても…
人は、人から自然から過去から、そして時には命を狙う敵からさえも、多くの物事を知り経験する事で人は初めて【人】になって行くのだろう…
そうだ…
だから諦めてはいけない…
如何に稚拙で愚かでゲスな存在にみえようとも…
人は人になる為に産まれ死んで逝くのだから……
だから……
だから………
「だから………怒」
『ほぇ?』
「俺の体から離れろォー!!」
「そして反省し、否!!猛省し神に親にそして俺に詫びろォォーー!!!!怒」
迷子の子パンダがどぅいぅ訳か、この人間様の我が武明高校に迷い込んで早…一週間
初対面からおよそ5時間…
会話らしい会話は未だに数える程しかしていない…
なのに…
なのにこのパンタレは、あの初日の昼休みを期にそれまで以上に周囲をうろつき…
そして何かと言えば正常な【人】とは思えぬ言動を吐き…
刺し…
触り…
時にはあろう事か抱きつくしまつ…
何故だ…
何故こぅなった…?
俺の静かで楽しいスクールライフは、一匹のあのパンダという皮をかぶった悪魔によってガラガラと音をたてて崩れて行っている…
俺はただ1人で…
出来うる限り1人で生きていたいだけなのに…
『なんでぇ〜?役得だよ?レアだよ?貧乳だよ?女子こーせーだよ?』
「えぇい!!おのれのよぅなチビスケ&貧乳&タレパ○ダなんぞに抱きつかれた所で、ちぃーーーっとも嬉しか無いわ!!」
『ほぅ?…んじゃ【ないすばでぇ】なら嬉しいと…?』
「うっ…そ…それでも!嬉しかないわ!」
『うっそぉ〜??怪』
「ふん!俺様は貴様の様な不貞の輩と違って、こぅピシィー!っと1本筋が通った人間なのだ!」
『ふん ふん♪』
「だ…だからだな…俺はこの先もずぅーっと死ぬ迄信じた我が道をただひたすらに進むのだ!!」
「だからお前のよぅな者に…いゃ…だから…もぅ…!」
「はぁーなぁーれぇーろぉーー!!!」
ブンブンブンッ!
俺はガッシリと抱きつかれていた腕を振り切り、パンダからコアラに有り得ない進化(退化?)をとげた元小パンダをひっぺがした。