ewig〜願い〜-6
「大丈夫。俺がついているから。」
そう言って俺は絢芽を強く抱きしめた。
しばらく抱きしめていた。
それはほんの短い時間だったかもしれないけれど。
俺にはものすごい長い時間に感じられた。
「絢芽…・・・俺、死ぬ前にお前に伝えたいことがあるんだ……。」
もしかしたら、もう気づいているかもしれないけれど……。
この熱い想いを死ぬ前に伝えなければ、生まれ変わっても後悔するだろうな。
「俺……お前のことが……」
ここまで言って顔を上げたとき、目の前にはほくそ笑んだ武士が立っていた。
そして、武士は刀を振り上げた……。
血が止まらない……。
寒い……
絢芽を見ると涙を流していた。
あぁ、これが死かと思った。
最後の力を振り絞り、絢芽を抱き寄せる。
「あ・・・あや……絢芽……」
「……まさ……さ……ま……」
もう絢芽の最後も近いんだろう……
言葉があまり聞こえなかった。
「お…・…・俺は……はぁ…・…お前が……大好きだ……」
やっと言えた言葉。
絢芽は微笑み、ひゅうっと息を吐き、深い深い眠りについた。
もうすぐ俺も逝く。
周りは火で熱いはずなのに、なぜか、俺は温かさを感じていた。
もし、生まれ変われるなら、俺はまた絢芽を探しに行こう。
そして、また伝えるんだ。
「俺はお前が大好きだ」って。