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ewig〜願い〜
【悲恋 恋愛小説】

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『ewig〜願い〜by絢芽』-9

血が止まらない。
私と嵩雅様を斬った、武士は何処かへと行ってしまった。
寒い……。
あんなに近くにいたはずなのに、嵩雅様と私は離れてしまっていた。
寂しい……。
私はこんなにもわがままだったのだろうか……。
涙が止まらない。
寂しいよ……。嵩雅様……。
もう一度抱きしめて欲しい……。
この気持ちが伝わったのか、嵩雅様が手を伸ばしてきた。
「あ……あや……絢芽……」
名前を呼ばれ、抱き寄せられた。
再び、嵩雅様のにおいに包まれる。
「……まさ……さ……ま……」
必死に名前を呼ぼうとしても、もう声が出なかった。
もう、私は駄目なんだと思った。
目を開けることが出来なくなってきている。
だけど、私は怖くない。
嵩雅様の腕に包まれて、嵩雅様の香りに包まれて、幸せな気分でいっぱいだった。
「お……俺は……はぁ……お前が……大好きだ……」
逝く前に嵩雅様から言われた言葉……。
私は嬉しさや、幸せでいっぱいになった。
そして、私は微笑むと永い眠りについた。




最後の最後まで私は幸せを嵩雅様からたくさんもらった。
私はちゃんと嵩雅様に幸せを与えることができただろうか……?
もし、今度人間に生まれることができたなら、もう一度あなたに逢いたい。
もし、そのときあなたがまた人を拒絶していたなら、私はまたあなたのそばで人の温かさを教えてあげたい。
もし、あなたが本当の愛を知らずに過ごしていたならば、愛を教えてあげたい。
もし、あなたが寂しい想いをしていたなら、そっと抱きしめてあげたい。
そして、今度はちゃんと伝えたい――。
『あなたを愛しています――。』





〜〜END〜〜


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