甘辛シロップ-1
とてもとても怒っています。
なぜだか知りませんが、この怒気、全然内側に抑えられません。
爆発したら、きっと私は…あいつを殺しかねない。
皆々様方、どうか私に元気を分けてください。
小石を" 軽く "蹴ってみる。
「…………あの…変態屑野郎……!!」
その小石は" どこかに消えた "。
ついさっき、こんな事がありました────
時は放課後。
一般の生徒は部活動で青春を謳歌する時間なのですが、私とショウちゃんは…
俗に『帰宅部』と呼ばれる部に入っておりまして…。
ええ、その字の如く家に帰宅する部活動です。 威張れませんけども。
今日も今日とていつものように、ショウちゃんを弄びに、いえ、迎えに行く訳ですよ。
言ってませんでしたっけ? 私とショウちゃんは組が違うんです。
つまり勉学を共にする教室も違うということで。
…そう。 織姫と夏彦星の様に、悲恋かと思いきやラヴロマンスな、そんな関係…。
全くの冗談ですけどね、至極フツーに会いに行けますし。
それでまあ、ショウちゃんの下へ行ったんです。
着いた途端にうげぇってなりましたよ、うげぇって。
ショウちゃんに向かって楽しそうに、しかも一方的に喋り続けている、
生理的に嫌な奴がその場にいたのですから。
「…というワケだ。 しょうたん、理解できたかい?」
「けど…………ん? 凪?」
おおっと、気付いてくれちゃいましたか。 仕方ない、プランBで行きましょう。
プランBとは以下略。
「…えー…ごほん! ……そこの雪柳さん、至急ショウちゃんから離れて下さい…じゃなく…この世から消えて下さい、何も言わず、今すぐに」
「…な……凪…?」
良い具合に驚いてますね。
うーん…その怯えきった顔を見つめて悶え狂いたいところですが、如何せん敵の前では
表の面を隠すのが秀麻流式でありまして。
「おいおい、いきなりかよ。 それに仕置きの落差が激しいもんだな、変態痴女のくせして」
…いや…何も切れてないと思いますよ? 結構理性は保てる方なので。
「あなたみたいなニーズは死にすら値しない…" 消えて "当然ですからね」
「…その『ニーズ』は秀才的な意味で?」
「…誠に申し訳ございませんが、変態的な意味で…です」
光輝くオーラを放出する私、邪慳濁るオーラを放出する変態。