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花火師と花火玉
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花火師と花火玉-2

「な、頼むよ。一人じゃ寂しいんだって。三日間誰とも喋らないとか辛いよ、マジで。」
「アホか。なんで爆弾と一緒に寝なきゃいけねーんだよ」
んなもん命がいくつあっても足りねーよ。
「連れてかねーと今自爆…」
「わかったよ!!連れてくよ!!」
俺が一体何したっていうんだクソッタレ。
「ちょっと待ってろ」
「…何してんだ?」
「ここは火薬庫だからな。管理は徹底されてる。てめぇを持ち出したら即バレだ」
「どうすんだ?」
「今から速攻で新しく一個作っててめぇの代わりにそこに置く」
「なるほどな。花火師だからできる荒業だな」
「くそ、バレたらクビどころじゃねーんだぞ、ちくしょう!!」
「ま、頑張れや」


「着いたぞ、ここだ」
「きったねぇアパートだな、おい。」
「裏手にどぶ川が流れてんだ。そこに放り投げてやろうか?」
「まぁ、中々趣のある家と言えなくもないな」
「少し黙ってろてめぇは」
「はいはい」

「一人暮らしか?」
「そうだよ」
「さびしーね〜」
「気楽でいいんだよ。なのになんでこんな訳のわからん球体に俺の安息を邪魔されないかねーんだよ」
「いいじゃねーか。別に」
「まぁいい、どうせあと三日の辛抱だ」
「三日後になんかあんのか?」
「花火大会だよ。てめえもそこで打ち上げられんだよ」
「ああ、なるほどね」
「てめぇには他の奴より多めに火の粉入れてやるよ」
「いいね、VIP待遇だ」
「・・・」
いちいちむかつく野郎だ。
「さてと、じゃあ俺は寝るよ」
「おいおい、それはねーだろ。せっかく話し相手見つけたってのに」
「うるせぇ。疲れてんだよ。特に精神的にな」
「・・・わかったよ」
「じゃあな、おやすみ」
「おやすみ、相棒」
「なんだよ、その相棒って?」
「てめぇのことだよ」
「何で俺が相棒なんだよ?」
「花火師と花火玉なんだからこれ以上の相棒もねーだろ。ピッチャーとキャッチャーみたいなもんだ」
「・・・絶対違う」
「じゃあ健吾ちゃんと相棒、どっちがいい?」
「・・・相棒」
「決まりだな。おやすみ、相棒」
「・・・はぁ」


「ぉぃ」
「ん・・?」
「おい、起きろよ」
「んぁ、誰だ?」
「早く起きねぇとこの部屋ごと吹っ飛ばすぞ」
がばっっ!!
「おはよう、相棒」
「・・・」
ちくしょう、やっぱり夢じゃなかったのかよ。一晩寝たら全部元通りになると思ったのに。
「さっさと準備した方がいいんじゃねーのか?そろそろ相棒が工房に来てた時間だぞ」
「げぇ!?やっべ、寝過ごした!!」
「ほれほれ、急げ急げ」
「だぁぁー、これも全部てめぇのせいだ!!」
「そりゃ横暴ってもんだぜ、相棒」
「うるせぇ!!」

『おせぇぞ、健吾!!何やってんだ!!』
「すいません、親方!!」
『祭りまであと四日なんだ。いくら余裕があるとはいえ気を抜くんじゃねーぞ』
「はい!」
『…おい、健吾。なんか良いことでもあったか?』
「へ?」
『いや、いつもより元気がいいからよ』
「・・・いえ、それはないです。むしろ嫌なことがあったんで」
『まぁいい。とりあえず4号玉作り始めろ』
「はい」


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