年の差-2-1
「絶対、しない!」
「でも、楽しいかもしれないぞ?」
「でも、しない!絶対!恥ずかしい!」
「そうかなぁ〜みんな、やってることなのになぁ」
「みんながやってるかなんて、私には関係ない!」
「これがないと、始まらないって!」
「やんなくても大丈夫!紙、出しゃ終わりじゃん!絶対、結婚式はしません!」
そう言って、菜海はベッドに潜り込んだ。俺のだが。
小学生か。
でも、そうやって拗ねる菜海も可愛いなぁ〜
…いやいや!違う!何としても、説得せねば!
久しぶりです。真下陸です。
誕生日をこの間迎え、遂に31才になりました。
菜海にはまだ早いと思ったが、どうせ結婚は一年以上先の話。
あの性格だから、式は挙げたがらないと思ったから、早めに話を持ち出したが…作戦1「普通に話す」は失敗に終わった。
そもそも、何で結婚式を嫌がるんだ?
女は普通、やりたがるじゃないか?
菜海のウェディングドレスだぞ?
…見たいじゃないか!
あんなに美人なんだ!似合うに決まってる!
式のお金なら、俺の貯金でなんとかなるし、祝儀である程度は戻ってくる。
なのに、菜海は…
『結婚式なんて、大変だよ?大体、呼ばれた方もしんどいじゃん。その辛さ、その歳なんだから、陸が1番分かってるじゃん』
なんて、言う。
確かに、呼ばれた方はただひたすら喰うか、友人と話するだけだ。
『私達の式を同窓会にする気もないし、お金を貰ってまで祝ってもらおうなんて思わない。ましてや、親戚まで呼ばなきゃいけないし…準備がしんどい!』
そうなんだよなぁ〜呼ぶメンバーを考えるのは面倒かも。
『第一に。結婚式なんてメルヘンチックなもの、する気、ないから』
…こりゃ、ダメだ。
こうも理屈っぽいと、ちょっと疲れる。
でも、まだ諦めないぞ!
作戦2「さりげなくアピール」
あの反対から、二週間後の日曜日。今日は天気がいいから、外でランチを食べることに。
場所はもちろん…ホテル内のレストラン。
昼なら、そんなに高くないし、気楽に食べれる。
「あ〜美味しかった!また、来ようね!」
菜海は満足になったのか、機嫌良く、ホテルのロビーを歩く。
すると、視線の先には、ホテルのチャペルがあり、ちょうどフラワーシャワーを行っているところだった。
菜海は食いつく様に見入ってる。
いい感じだ。これで、やる気になってくれれば…
「ねぇ…陸」
「ん?何だよ?」
俺はニヤニヤしながら答える。
『私もあんなドレス着たい!』
おう、いいぞ!いくらでも着させてやる!
『陸のタキシード姿カッコイイだろうなぁ〜』
そうだろ、そうだろ!
「ちょっと…陸」
「だから〜何だよ」
ニヤけながら、答える。
「新郎がビンタされてる」
「え!!」
チャペルの方を確認すると、新郎が招待客の一人に罵られてるっぽい。
その横にいる新婦は明らかに引いている。
「女関係、ちゃんと整理してから結婚式あげなきゃね〜」
菜海は、小馬鹿にしたような笑いをロビーに残して、外に出た。