年の差-2-2
作戦2、見ず知らずの新郎のせいで失敗に終わる。
作戦3「お涙頂戴」
「おっ父さん…おかぁ…さん…今まで…ありが…とうございま…した」
テレビでは、新婦が、泣きながら両親への手紙を読んでいた。
昔、荒れていた彼女を更正させた先生が、その彼女と結婚することになったというドキュメンタリー番組を、晩御飯を食べた後、二人で見ていた。
もちろん、ホテルに行ってから3週間後の話だ。
「いいなぁ〜」
お!?菜海が食いついた?
「何が?」
「先生と、結婚出来て…」
「そうだろ?菜海も、先生と…ん?え?先生と結婚したいのか?!」
思わず、隣にいた菜海の肩を揺さぶる。
「痛いって…いや、私じゃなくて、この人。好きだったんだね。好きだったから更正させたんだろうなぁ〜」
「まぁ、どっちが先かは分からんけど…」
「でも、教師なんて怠いだけだよ…」
「そっかぁ〜って、経験あんのか!?」
再び、揺さぶる。
「…ある訳ないじゃん。私が出た学校の先生って、平均年齢=父親なんですけど」
呆れながら言う。
「そうか!そうだよなぁ」
「まぁでも、私がいた研究室の先生は29だったけどね」
…な、何!!
知らなかった!
「そんな話、聞いてないぞ!」
「当たり前じゃん。言ったら、拗ねるの分かってたもん」
と、テレビを見ながら答える菜海。
まぁ…良かった。無事に、卒業しているから、何もなかったみたいだが…
「で、どうだ?結婚式してみたくなったか?」
「ないね、寧ろ余計したくなくなった。」
ふん、と言わんばかりに言い放たれた。
「何でだよ〜」
「ねぇ…陸」
菜海がこちらを見る。
さっきとは違い、真剣な眼差し。
「何も恥ずかしいだけで、式が嫌って言ってるわけじゃないの。両親のことを考えると、やっぱり辛いのよ…」
菜海のお母さんは、病気でストレスなどに特に弱いらしい。
俺も一度会ったことがあるから、知っているが…
あれはどうみても…
「あの肝っ玉かあちゃんがか?確か、式は楽しみにしてるとか…」
「あ、ばれた?」
舌をちょっと出し、頭をかく。
「そんなにしたくないか?」
「したくない」
即答だ。
「何で嫌なんだよ〜」
「将来のこと考えてよ。家具とか家電とかどうするの?私は働いているとはいえ、まだ一年も働いてないから貯金もないのよ」
「そこら辺はなんとかなるよ。俺の貯金とか…」
「無理よ。一人暮らししてて、そんなにあるとは思えない」
そう。その通り。式が1番安くても300万はかかると聞いたことがある。
それに家電や、家具やって言ったらキリがない。
でも…
「俺は、菜海のウェディングドレス姿が見たい」
すると、どうだろう。
菜海の顔はどんどん赤くなっていく。
照れている証拠だ。