投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜の最初へ 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜 15 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜 17 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜の最後へ

社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-1

誠司は久しぶりに、長々とキーボードを叩いていた。
キーボードの右側には、積み上げられた何冊かの薄いファイル。ところどころにふせんが挟まれている。
そして左側には、開かれたページ。そこに記されているのは、幾つもの棒グラフとその内訳。
一見すると仕事しているように見えるがその実、仕事をしているわけではない。
「……何だよ、珍しく仕事っぽい事してると思ったら…分析かよ」
不意に耳の近くで聞き慣れた声が響いた。誠司は作業を止めることなく、口を開く。
「健介……お前また人にちょっかい出しに来たのか? 仕事はどうした」
「なんだよその言い方……。まるで俺がお邪魔虫みたいじゃねえか」
「ストレートにそう言った方がいいか? 少なくとも今は就業時間だろ」
「ちぇ、厳しいぜ」
ばっさりと言い切られ、声の主――深山 健介はため息とともにがっくりと肩を落とした。
だが、この程度は言われ慣れているのが、誠司の知る健介という男である。さして間を置かずに立ち直ると、不思議そうな様子で開かれたファイルの端を摘んだ。
そのファイルの正体は、『KIRISAWAカンパニー』営業部に属する社員の営業実績である。

KIRISAWAカンパニーでは、「適材適所」という社訓のもと、他社では珍しい様々な社内業務を行っている。その一つが、健介が摘んだファイル――営業実績ファイルの製作である。
全体的な実績だけでなく、業績内容の傾向、成功率など、様々な要素を克明に記し、部署・課別にまとめる。そうする事により、部や課に回ってきた仕事を配分する際の指標とし、仕事の完遂率や成功率を少しでも高めるのが、営業実績ファイルの目的である。実際にこのファイルは、難題や重要な仕事を任された部署や、仕事の多い部署などで非常に重宝される。
ちなみにこの仕事は、主に各部署の事務課が行う事になっている。用途が用途なだけに意外と重要で面倒ではあるが、その分給料は上がるようで、事務課内では必ず「そんな重要な事などできない」と敬遠する人と、「給料が上がるなら」と積極的にやる人にはっきりと分かれるらしい。

「こんなもん引っ張り出して、やれる事つったら分析以外ねぇよな。一体どういう風の吹き回しだよ?」
ファイルから手を離しながら、健介は疑問と視線を投げかける。それに気付いたのか、誠司は今度は手を止め、視線を返した。
「いや、暇だから少し調べたくなってね」
「暇だから、ねぇ」
答えに対し、健介はやや怪訝な顔をする。
ただ、嘘は言っていない。暇だからこそ、誠司は就業時間にわざわざ傾向分析を行うことができている。
とは言え、傾向分析を行う理由を伏せているのも事実。
そう。この作業は、誠司のこれからに必要な準備なのだ。


さかのぼる事、二時間程前。
昨日情欲を燃やし合った相手が、自分の勤めるKIRISAWAカンパニーの社長、霧澤 玲であった事。
彼女の計らいで自分が課長職に昇進してしまった事。
二つの衝撃的な事実によって引き起こされた混乱状態から何とか立ち直った誠司は、玲に勧められるままソファに座り、彼女の話を聞いていた。
「それじゃ、どういう経緯でそうなったか、説明するわね。誠司君も、納得の行く理由が必要でしょ?」
「……はい」
頷く誠司。玲はその様子を確認してからソファに座り、ローテーブルを挟んで誠司と向き合った。
「きっかけは三ヵ月くらい前の話かしら。秘書課を通じて私宛てに、営業部から何枚もの上申書が提出されるようになったのよ」
言いながら玲は、いつの間にか取り出していた書類の束をローテーブルの上に置き、彼に見せる。
さっと目を通すと、ワープロ、手書き、様々な文体ながらも、文面には共通して「倉本 誠司」の名前が見える。
「これが、その上申書……?」
「そう」
玲が口元をわずかに緩ませる。


社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜の最初へ 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜 15 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜 17 社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前