年の差-1-7
「まさか…何?訳の分からないことを言ってるの?」
アハハと、笑って流す…つもりだった。
高井はこっちを真っ直ぐ見る。
いつの間にか、私の両腕は高井に、掴まれている。
−動けない
−動かさない
そんな二人の意思がぶつかっている。
「俺は相手にならないのか?」
切なそうな目。
そんな目をされたら、そっちへ行きたくなる。
そんな風に見られたら…
貴方に抱かれたくなる。
「なっ…ならない」
真っ直ぐに目を見ながら言う。
この上ないくらい、悲しそうな目。
何で、私達は付き合うことが出来ない?
何で、お互い恋人がいるの?
なんで、もっと早くに…
高井の魅力に気付かなかった?
でも、本当は分かっている。
これは一時的な感情だって。
恋人だからって、お互いのことを知り過ぎているのは少ない。
でも、高井のことを私はよく知っている。
でも、それはもう『男女』の枠を越えたものだと思う。
「そっかぁ…悪かったな、何か変な事言って」
私の両腕が開放される。
「いや、別に…」
「気にするなよ」
そう言って、高井は帰る準備をした。
それをただ、見ていた。
「じゃあな」
と、だけ言って部屋を出た。
−終わった。
二人の関係はここで終わった。
一瞬でも『男女』の空気になると、二度と『友情』には戻れない。
外は私とは違い、気持ち良い青空だった。
そんな日から、しばらく経ち、遂に卒業式の日を迎える。