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年の差
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年の差-0-6

今まで緊張していた俺が、考えた最高の口説き文句を、彼女は…
「そうだね」
思わず吹き出す。
「なっ何か、可笑しいこと言いました?…あ、車!でも、飲酒運転になるし…」
思っていた以上に、彼女は面白い。
やっぱり、彼女を知りたい。
まだ考えている彼女はとても、おかしかった。
「そこは…ね。」
彼女の目を見る。
まだ、考えているようだ。
「か…」
「あー!!分かった!」
いきなり叫ぶ。
ことごとく彼女は、俺の計画を打ち砕く。
「正解は、『彼氏になったら』ですか?」
目をキラキラさせて言う。
まるで、難問を解いた後みたいにさっぱりした顔だ。
「そうかも…ね。そう言うと、男性は喜ぶかもね。一回、誰かに使ってみ」
苦笑いしながら言う。
「じゃ、使ってみます」
ニコニコさせながら、言う。
「真下陸さん。私を家に送って頂けませんか?」
…え?
また彼女の天然が出たか?
「それ…どうゆう意味?」
「真下さん…送りたいんでしょ?私を。送って下さい。」
さっきと変わらず、ニコニコしながら言う。
「『彼氏』のポジションをくれるなら、いいよ」
冗談っぽく、言う。
「はい。あげます。ってか、その『ポジション』は真下さんに貰って欲しいです」
…え?
それって…
「じゃ、俺と付き合ってくれるの…?」
「はい。」
マジで!!今、この気持ち誰に打ち明けよう!?
友達に知らせる?いや、それじゃ足りない!!そうだ!ネットだ!
ネットでこの気持ちを…あ、でも…
「10も上だけど…いいの?」
一応、聞いてみる。
「関係ないです。真下さんがいいです」
照れながら話してくれる。
いや…めちゃめちゃ嬉しい!!
「あ、ありがとう…」
そうして、彼女の家へ送ることが出来たのだ。


それから、一年。今ではこんな調子。

「ちょっと!何、ぼぉーっとしてるの?」
「へ?」
「へ?じゃないよ!あなた、ナビ無視して、左折しないで、直進してますよ」
ナビを見ると、ルートを再検索されていた。
「あ…」
「…まぁ、いいんじゃない?約束の時間には間に合いそうだし…」
時計を見る彼女。
「別に遅れても…」
「自分、仕事で時間に遅れると、うるさいのにね。」
はい…すいません。
俺が間違っていました。

いつもこんな調子での会話。
今日は、彼女の振袖を取りに、彼女の親戚の家まで、アッシー(古っ!!)にされている。
来年の一月、彼女は成人式に出席する。
彼女の誕生日は10月で、俺は12月。
たった2ヶ月だけ9歳差になれるが、彼女は、「大して変わらん」
だって。
あの頃の初々しさはどこへ行ったのやら…

でも、僕は彼女を心の底から、愛しています。


「こら!ぼぉーっとしてたら、ぶつかるよ!」
彼女の怒鳴り声が聞こえてきた。


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