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ゆきのした。
【家族 その他小説】

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ゆきのした。-4

 セキトリマン…そういえば、母さんに教えてもらって僕はこの作品を知ったんだ。

 悪者ながらも義理人情溢れるゴツァンの格好良さとか…脳に滲みるほど
 聞かされたんだっけ。

 今思えば不思議だ。 どうして母さんは、主人公のセキトリマンより悪役の
 ゴツァンの方が好きだったんだろう。

 「ごっつぁんです」しか喋れないただの悪役なのに、母さんは真剣に
 ゴツァンを支持していた。

 不思議すぎて、なんだか可笑しくなってしまう。

「……ははっ…」

 声が漏れてしまった。

 …いや…それで良かった。

 笑って正解だ。




 ぐいぐい、と後ろから服の袖を引っ張られてる気がする。 …気のせいじゃない。

 振り返ると、太陽級の笑みを浮かべる姉ちゃんがいた。

 今度はなんだろう。 面白い物でも見つけたのかな。

「ねえねえ、ちょっとこっち来て来て」



 正にその通りだった。

 混沌とした意味での面白い物だった。


「これこれこれ! ね、ね、買わない?」

「何これ…?」

「CMで紹介してるじゃん。 効果バツグン! このワンセットでアナタの人生がまる変わり! って」

 『安眠セット』……。

 しかも…千五百円だって? 馬鹿じゃないのか。 小学生の僕でも判別できるよ。

「これは無いって絶対に!」

「…うー…でもぉ………凄そう……でしょ…?」

 同意を求められても困る。

 というか、千五百円って、つまり…

 僕の所持金は千円札一枚だと、先程申し上げたはずなのですが。


「姉ちゃん……結局、何円持ってきてるの?」

「…………」

「オトメ事情、ね……」

 もういい加減に観念して下さい。


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