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さぁ満月だぞ!
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さぁ満月だぞ!Act.7-3

『一緒に見ます?三人入ってもまだ余裕だし。』
にこやかに言う私を見て

『えーいいんですかー?じゃお言葉に甘えてお邪魔しまーす♪』
とズカズカ礼の腕にしがみつきシートの上に上がってきた。

ん?
なんかムカツク。
そしてちょっと胸騒ぎ。

私の胸騒ぎは当たり蝶の浴衣姿の安西さんというらしい。
礼とベタベタしている。

私はというと…頭に来るけれど年下相手に怒るなんて出来ないので眼鏡の男の子とインディーズバンドの話をしている。
そんな私を察したのか礼は

『綿貫さん。飲み物買いに行きません?』
ん?
なんで名字?

『良いけど。』
すると周りの子達も礼に買い物を注文する。

『解ったけど後で金徴集すっからな!』
『ねぇ!じゃあ私も行く!荷物多いでしょ?はい!じゃあ決まりー!』

礼の腕にしっかり抱きついてスタスタと歩いてしまう。
仕方なく私はその後ろを歩く。

人混みはさらに増えて着いて行くのも大変だった。

どんっ!

私は人波から押し出されて礼はどんどん進んでしまう。

なんで?
なんで気が付かないの?
そりゃ私年上だから我慢しなきゃならないの解ってるけど…

席に戻ろうと歩くと下駄の鼻緒が切れてしまった。

大きな音を立てまた花火が挙がる。

耳ふさいでよ。ばか。
下を向いて涙を必死に引かせようとするけど全然ダメだった。

『どーしたの?一人?』
頭悪そうなチャラ男2名が話しかけてくる。

『一緒にどぉ?』
と私の腕を掴んだので

『うっさいバカ!あっち行け!』
と怒鳴った。

『この女酔ってるー』
酔ってねぇー!あっち行け!殺すぞ!
といいかけた時だった。

『すいません。俺の連れなんで。』
と私の腕を掴む手を払った。

『ごめん。行こう。』
と私の手をしっかり握ると人通りの少ないとこまで歩いた。


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