10年間の支配。(第一部、最初の1週間)-9
「いやっ!」
奈緒美が顔をそむける。
「やれやれー!!」
奈緒美の首めがけて、四方八方からモップが突き出される。
奈緒美の首は何本ものモップで締め付けられるような感じになった。
「やめてー!!」
奈緒美は必死に抵抗した。モップを掴んで払いのけようとしたがすごい力で押し付けられて
身動きとれない。
「ほらほら、お前の顔も掃除してやるよー!」
一人が奈緒美の顔めがけてモップを押し付けた。
「ウーッ!」
声にならない。
「キーンコーンカーンコーン!」
その時チャイムが鳴った。
次の時間は教室移動なのでみんないじめるのをやめた。
「続きは後だ。」
奈緒美はそういわれ、やっと自由にされた。
「次の時間、授業でずに、ひっくり返した給食片付けとけよ!」
「はい・・」
奈緒美は力なく答えた。
奈緒美は教室を離れずに掃除を一人で始めた。
目は涙で潤んでいた。
「なんで・・・なんで・・・」
片付けが終わる頃、授業を終えた生徒達が帰ってきた。
奈緒美はまたいじめられると思ったが今日はこれで授業が終わりなので、
すぐに担任がきてHRが開かれた。奈緒美はもちろん床に座ったままだ。
HRが終わるとみんな奈緒美を放っておいてそれぞれ部活動へ向かった。
奈緒美は校長室へ向かった。放課後は毎日来るように言われている。
「いじめられるってどうだい?気持ちいいだろ?」
「いいえ」
奈緒美は毅然と答える。
「まだまだ元気だねぇ。いつまでその元気が続くかねぇ。」
「。。。」
「首と顔、汚れてるねぇ。キレイに拭いてから命令を聞いてくれよ。」
奈緒美はタオルを渡され、洗面台で首と顔を洗ってきた。
「さてと、今日は何をしてもらおうかな。よし、君、マジック部に入部して来い!」
「ま、マジック?」
「プリンセステンコーとか、マリックとか知ってるだろ、そのマジック部だ。ちょうど女子の部員がいなくてアシスタント役がいなくて
困ってたんだ。」
「わかりました。」
奈緒美はそう答えると演劇部へ向かった。
「おっ、新入部員きたぜ!校長から話は聞いてる、転校生の佐伯奈緒美だろ?」
部長の男子生徒が言った。
「はい」
「アシスタント役だけどわかってるよね?」
「はい。お手伝いですよね?」
「そうだけど簡単じゃないよ。エスケープイリュージョンとかじゃあ脱出役だしね。」
「え?」
「だからプリンセステンコーとかのやってるやつ。」
「わかりますけど、出来るかどうか・・・」
「いいからやるんだろ!!校長から好きに使えって言われてるんだ。」
急に声を荒げる。
「やります・・・」
命令だ。どんなことでもやらないといけない。
「実は、誰もアシスタント役やりたがらなくてねぇ。ほら、この一年前の有名女子高での女の子の脱出イリュージョン失敗。
見たでしょ?」
「あっ、はい」
それは、とある有名女子高での文化祭での話だ。