10年間の支配。(第一部、最初の1週間)-13
(1時間もたないよ、苦しいよ、)
奈緒美は苦しんだ。
そして1時間経って男子生徒たちが戻ってきた。
「おっ、こいつまだ生きてやがる。」
「たいしたやつだな、今までのやつらは10分ともたなかったのにな。」
「もうちょっと首きつくしとけばよかったんじゃない?」
奈緒美はなんとか耐えていた。首の絞まりは意識を奪うほどではなかったのだ。
「た・す・け。」
奈緒美は声にならない声でしゃべろうとしている。
「わかったよ。」
奈緒美の首のロープはカッターで切られた。
奈緒美はそのまま台から転がり落ち、床に倒れこんだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
短い息をしている。
「約束だぞ、俺達の言うことなんでも聞いてもらうからな、さからったら次は確実に処刑されると思え」
奈緒美は何も言わないで頭を下げた。
「じゃあまた明日。手のロープはこのカッターで勝手に切って帰れや。俺達はさっさと帰って明日からお前に何やらすか
考えないといけないからな。」
生徒達は帰っていった。
奈緒美はカッターで後ろ手のロープを切ろうとしたがなかなかうまくいかない。
「どうしよう、ほどけない・・」
(でもここの生徒、本当に怖いよ、殺されるよ、でも逃げたら黒金に殺される・・、もうヤダ・・)
奈緒美はそう思いながらロープを切ろうと必死になっていた。
「はー、ダメだ」
(両手首が痛くて手の感覚がなくなってきちゃった・・)
奈緒美はカッターを落とした。
(どうしよう、どうやってロープ切ろうか)
「そうだ!」
奈緒美はひらめいた。そして倉庫から走って出て行った。
奈緒美はマジック部についた。そこには部長がいた。
「部長!」
「あん?お前か」
「エスケープの練習してたらほどけなくなりました!お願いです切ってください。」
奈緒美は部長に背中を見せ、縛られた両手を見せた。
「ん?お前誰かに縛ってもらったんだな、いい縛り方だ。」
「え、あ、そうなんです、ちょっとクラスメートに強力してもらって」
「今は難しいことしなくても我慢の練習しろって言っただろ、バカが!」
部長はそういいつつ奈緒美のロープを切った。
「ありがとうございました!」
奈緒美はそういい残すと走って部室を出た。
校長室に行くと、呼ばれた日だけ校長室にくればいいと言ってきた。携帯があるから
それで命令は与えるということらしい。
少し安心した。奈緒美にとって毎日校長室に行くのはかなりのストレスになっていた。
奈緒美はそのまま帰宅した。