stand up to evil heart<少年時代・7-5
父「おい、竜。」
竜「うん?」
竜は背中を向けたまま聞く。
「「愛してる。」」
竜「……………。」
泣かないと決めた。
なのに………
涙が勝手に出てくる……
止めれない………
早くここを離れないと、父さんや母さんが恋しくなってくる。
……走りだす。
父さん、母さん。
もう………………
涙を拭う。
さっきいた監獄へ向かう。
気絶している男が、まだいた。
竜はその男をおんぶする。
竜「もう、誰も死なせない。」
2分32秒。
竜は入口に向かって走り出す。
1分を切った。
竜(間に合え、間に合え!)
あともう少し。
30…29………
父「竜にはなにもしてやれなかった……」
母「そうね。親失格かな。
私のお父さんのせいで、あなたには…………ごめんね。」
父「俺だって興味があったからこんなこと………おまえのせいじゃない。
…………竜は、これから大変だな。」
母「ええ。でも、あの子なら大丈夫。
周りにたくさんの仲間がいるから。」
父「そうだな。心配なんて無用だな。
あいつは、成長したよ。
俺なんかより大人だ。
………なぁ…………天国に行けるかな?」
母「無理じゃない?
でもあなたとなら、地獄でも………」
父「…秋、愛してる。」
母「私もよ、涼さん。……愛してます。」
今までで1番素直になれた時間。
それは、最期のひととき……