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「ずーっと一緒」
【ホラー その他小説】

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「ずーっと一緒」-1

僕はかなめ。
「とある日の保健室」でお馴染み……ってほどでもないか……いや、とにかく、かなめです。
これから僕が紡ぐ物語は、嘘のようで本当にあった物語です。……なんてのは定番ですかね。
これはマジな実話なんです。笑わないでくださいね。
体験したのは僕ではないのですが、まさか当人の名前を出すわけにもいかず、かと言ってよい仮名も思い浮かばない……。だったらいっその事、僕のハンネを使うか、みたいな。
前置きが長くなりましたね。
では、スタートです……。



あ、一応ホラーなんで、苦手な方はやめた方が(中略)



初めてそれを聞いたのは、ほんの1ヶ月前から。
それは深夜2時を越えた辺りから現れる。
ぎぃ……ぎぃ……
階段の軋む音。
とん……とん……
扉が軽く叩かれる音。
がちゃ……がちゃ……
ドアノブを何回も回す音……。
こんな体験を毎晩繰り返していて、よく僕の精神は狂わないもんだ。それとも、1ヶ月もこんな生活をしていると、慣れが来るのだろうか?
いや、慣れはない。何故なら、その音が聞こえる度、僕は恐怖に襲われる。
歯がかちかちと音をたてる。
身体が震える。
鼓動が高鳴る。
なまじ姿が見えないのだから、恐怖も倍増と言うものだ。
夜は怖い。
だからいつも速く寝るようにしている。少なくとも、2時までには。恐怖には勝てないのだ。
「ふぅ……」
そんな生活も、今日で1ヶ月と1日。いつものように21時までには入浴を終わらせ、22時までには明日の用意を済ませ、 23時までにはベッドに潜り込む。本当なら、夏休みなのだから明日の用意はいらないのだが、明日は出校日な為、用意をせねばならない。そんなにはかからなかったけど。
さあ、寝よう。
消灯の時間ですよ〜、なんて入院してたら看護婦さんが可愛げに言ってくれそうなものだが、いかんせん、ここは我が家だ。看護婦さんなど存在しない。ただ、母という鬼はいるけど。
明かりを消し、柔らかい枕に頭を預け、目を閉じる。 こうしていれば、そのうち眠れる。
だが、である。
ぎぃ……ぎぃ……ぎしぃ……
階段を上がる音が聞こえてきたではないか。
(おかしい……。今の時刻は23時10分。奴が出るのは2時以降……)
奴というのはもちろん、音の正体――幽霊である。
奴が現れるのは、前述したとおり、2時以降。それ以前に現れるなんて、そうそうなかったのに……。
とん……
どうやら、扉の前まで来たらしい。
来るぞ……。
がちゃ……がちゃ……
何度もドアノブを回し、結局開けない……それが奴だ。だからきっと、今日も来ないさ……。
がちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃ……
「ひっ!」
思わず僕は、掠れるような悲鳴をあげた。だってそうだろう。
普段は連続でドアノブを回したりしない。
あんなに激しく回したりしない。
ゆっくりと、一定のペースで回す筈なんだ。なのに……。


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