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「ずーっと一緒」
【ホラー その他小説】

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「ずーっと一緒」-5

その日の夜。
僕は起きていた。
おそらく神谷はまだいる。ならば僕は、神谷のやりたい事に付き合いたい。
さ、神谷。僕の方は準備万端だ。やりたい事、なんだって付き合うぞ。昨晩は引いてしまったが、今晩は多分大丈夫。だから神谷、出てきてくれ――
「かなめ君」
「!」
出た。神谷だ。
「神谷、なのか?」
暗闇に向かって声をかける。返事はすぐに返って来た。
「嬉しい……。手紙、読んでくれたんだね……」
「当たり前だ。……なあ、最後にやりたい事って、なんなんだ?」
僕は相変わらず暗闇に向かっている。神谷は姿を現さない。
「ん……と……告白」
短く神谷は答えた。
告白……というと、なんの告白だろう。
「あ、なにか悪い事したのか?」
「その告白じゃない!……だから、好き……」
「え?」
「好き!かなめ君の事が好きなの!だから……」
最後にやりたい事って……僕への愛の告白だったのか……。さて、困ったぞ。どう返事すればいいんだ?
……本音で、いいだろうか。
「うん……。僕も、神谷の事、前からいいなって思ってたんだ……」
恥ずかしい。我ながら恥ずかしい。
「え!?それじゃ、両想いだって事?」
「ああ、そうなるんじゃないかな……」
「わぁい!良かった!これで安心してかなめ君を殺せる!」
「はは……は……?」
今のは僕の聞き間違いだろうか……。いや、そうに決まってる……。彼女が殺すなんて言葉、言うわけが……。
「動かないでね?出来るだけ優しく殺してあげるから」
聞き間違いなんかじゃない!
殺すと!
確かに言っている!
「な……に、を……?」
「痛いのは一瞬だけ。あとは楽になるよ」
「うわああぁぁぁぁ!!」
急に神谷が全身を現した。引くなとは言われたが、引くに決まってる。
その禍々しい姿。
最早神谷は、異形の者と化している。
その腹に刺さっている巨大な硝子片を1本、神谷は抜いた。
「やめろ……僕は、まだ、死にたく、ない……」
「私にはかなめ君が必要なの。でも、かなめ君は生きてる。私は死んでる。なら、話は簡単。かなめ君を、殺しちゃえば、いい、んだ、よぉ!」
その巨大なガラス片は、一撃で僕を貫いた。そのまま壁に突き刺さる。
僕は、絶命した。
「うふふ……かなめ君、これかはずーっと一緒だよ?ずーっと、ずーっと一緒……」



いかがでしたか?
あ、言っときますけど実話なのは、穂奈美の手紙を読むところまでです。そこから先は分かりません。だって彼、死んでしまったんですから。世間一般じゃ自殺だって言われて、警察もまともに捜査しませんでした。
しかし僕は知っているのです。彼の親友なのですから。彼を永遠に忘れない為……ただそれだけなんです。だから、忘れないで欲しい。幽霊からの告白は、決して受けてはなりません。もしも受けたら……彼のようになってしまいますよ?


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