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「ずーっと一緒」
【ホラー その他小説】

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「ずーっと一緒」-2

「はぁ……はぁ……」
息が荒くなる。
寒い。
冷や汗で背中がびっしょりだ。
寒い。
ドアノブの回転はまだ止まらない。
うるさい。
「やめろ……」
小さく呟いても、止めてくれるわけがない。
僕は立ち上がった。
「やめろって……言ってるじゃないか……」
掠れ声で扉に近付く。回転は止まらない。
僕は一生分の勇気を振り絞って、ドアノブの回転を止める気になった。 ゆっくりと手を伸ばす。その手が震えているのが分かった。そして、手がドアノブに触れる瞬間、
がちゃがちゃがちゃ……がちゃ
ドアノブは回転を止めた。それがさらに僕を震え上がらせた。
「う……」
だが、ここまで来て逃げられない。 今日は普段とは違うんだ。なにかしらの意味があるんだろう。だから僕は、今まで深夜は開けた事のない扉を開けようとしているのだ。
生唾を飲み込んだ。ドアノブに手を掛ける。それを捻って、勢い良く開け放った。
「っ!……?」
だが、そこにはなにもなし。ただ、漆黒の闇が広がっているだけだ。
「なにも……ない?誰も、いないのか?」
この時、声を発するべきではなかった。何故なら、



「いるわよ……」



なんて、後ろから聞こえたからだ。
「ぁ……ぅ……!」
掠れ声しか出ない。
その声は、まるで女性のよう。今にも消え入りそうな声だった。
「ねぇ、かなめ君……こっち、向いて……?クスクスクス……」
何故か僕の名前(仮名)を知っている奴は、僕の背中に触れているらしい。異常な寒気を感じる。
「向いてくれないの……?せっかく逢いに来たのに……ショックだなぁ……」
向けるわけがない。僕の身体は金縛りにあったかのように、少しも動いてくれない。
怖い。
「じゃあ、私がかなめ君の正面に回るね……」
来るな……来るんじゃない……。
心の中で念じても、その願いは叶わない。そして、身体も動かない。
視界の端になにかが映った。咄嗟に目を閉じた。これなら大丈夫、少しも見えない。
「目、閉じちゃ駄目だよ……」
そいつが言い終わると同時に、僕の瞼は少しずつ開いていく。そう、少しずつ、見えてもくる。
まず、足が見えた。
僕が目を閉じようとしても、大して意味がない。
どんどん身体が見えてくる。
嫌だ……。
完全に目が開かれる途中に、僕は叫び出したくなった。開ききる前に、そいつの全身が見えたからだ。



身体全体が血だらけ。
頭や両腕両足は、あらぬ方向に折れ曲がっている。
極め付けと言わんばかりに、腹に巨大な硝子片が2、3本刺さっていて、とても痛々しい……。



「うわああぁぁぁぁ!!」
僕は悲鳴をあげた…………。



気付けば、朝になっていた。
身体に異状は見られなかったから、学校に行く事にした。
家族には、昨晩の事は話さなかった。話したところで、誰が信用する?おそらく、級友たちもそうだろう。
だから、誰にも話さない。よっぽど信頼出来る奴じゃないと。


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