ヒメクリニッキ-4
結局、俺が社会の教科書を取り返すことは出来なかった。だが代わりに、他の教科書は死守できたし、俺の代わりに罰ゲームもあったりした。
時計はもう、深夜1時を指している。だだっ広い居間に男2人女2人が雑魚寝でくたばっている。まぁ、こんな時間までポーカーをやってれば疲れるのは当たり前というか。
「篠原、ここはだな」
「あー、なるほど」
そんな中、俺は友沢先輩に数学を教えて貰っていた。いやぁ、まさかこんな時間まで付き合ってくれるとは。世界には色んな人がいるんだなぁとつくづく思う。
「だから、xだ」
「はぁ、教えかた上手いすね先輩!!」
「や、ま、そんなことはない……」
友沢先輩は、顔を赤く染めていた。
「り、留年は嫌だろ」
「まぁ、成宮先生に殺されんのは勘弁っすね」
「ま、また解らなかったらいつでも聞いて……く…」
「フルハウス!!!!!!」
「わぁ!! ……な、なんだ、寝言か」
寝言でフルハウスなんて、こいつの脳はゲームしか考えてないのか。
「で、先輩なんか言ってませんでした?」
「い、いや、勉強がわかったならいいんだ。だからもう寝よう。明日もあるんだし」
「あー、そうですね。ありがとうございました先輩!! 素晴らしい人です!!」
いやぁ、これで成宮先生を見返すことが出来る。
俺は先輩に礼をして、居間の電気を消した。