繋がり-2
部屋に入って椅子に座る。カーテンが揺れて眩しい日差しが入る。
これで二度目。
カーテンが捲れて見える景色に彼女がいるのは‥。
一度目は笑っていた。
この世の中には暗闇などないとでも言ったように輝いた笑顔だった。
二度目は泣いている。
ダメだ‥‥‥。
視界が霞んで表情がよく見えない。
私は二度目も泣いているんだね‥‥。
頭の中で彼女の言葉が木霊する。
あたしも奏人が好きなの。
「あたしも」の《も》が誰と共鳴しているのだろう。
彼女は私が千葉くん想っていることを知っているのだろうか‥。
それとも千葉くんは彼女が好きで彼女も千葉くんが好き。その《も》なのだろうか‥。
前者にしろ、後者にしろ、私が存在することに気をよくしていないことは確かである。それを私に理解させるには十分な言葉だろう。
気が付けは時計の針は真っすぐ一直線になっていた。
空は茜色の画用紙に埋め尽くされたようで、影が名残惜しくのびている。
知らないうちに眠ってしまったらしい。
彼女が訪れたことも夢だったのだろうか‥‥‥。
夢現つの中、そんなことを考えていたら大事なことを思い出した。
千葉くんと約束してなかったっけ‥‥。
急いで立ち上がり、部屋のドアを開けて玄関に向かった。でも、そこで私の足は止まった。
もう‥‥‥
いるはずない‥‥‥か。
重く腫れた瞼を冷やしながら明後日のことを考えた。