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胸音
【純愛 恋愛小説】

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胸音-5

「18日、レストラン予約したから。バイト休み取っといてね。」

「本当に!?ありがとう!」

嬉しかった。安藤くんが初めての彼氏だから、彼氏に誕生日を祝ってもらえるのがすごく嬉しかった!でも、同時に斉木くんのことで罪悪感もあった。こんなに優しい安藤くんを失いたくなかった。

9月18日、新しいワンピに袖を通す。今年はちょうど土曜日と重なったから、大学は休みだった。安藤くんの仕事が終わる8時に、駅で待ち合わせする。

夕方の5時頃、携帯が鳴る。安藤くんかな?と思って見ると、斉木くんからだった。電話がかかってくるなんて初めてだ。

「もしもし?」

声が裏返りそう。

「もしもし、俺だけど、分かる?」

「うん!斉木くんでしょ?」

「うん、あのさぁ、今日、会えないかな?」

「今日?」

「今日、相川の誕生日でしょ?」

「えっ…何で?」

「メルアドに入ってるじゃん。0918って。違った?」

「ううん、違わないよ。」

動揺で、変な日本語になってしまう。

「会える?」

…約束しちゃった…。8時に、栄駅で。

安藤くんにメールする。

―ごめん、今日、どうしても実家の親が帰ってこいってうるさくて。本当にごめんね―

最低最悪だと思った。でもこの胸の高鳴りは、もう止められなかった。

栄駅に5分前に着く。斉木くんは大きな花束を持ってそこに立っていた。明らかにホストの彼、かなり恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかった。

レストランで食事をした。斉木くんがトマトが食べれないことが分かった。かわいかった。

「店近くだから寄ってく?」

「うん!」

ホストクラブでは、みんなで「Happy Birthday」を歌ってくれた。こんなに賑やかな誕生日は初めてだった。緊張も解けて、酔いも回ってきて、きっと私はずっと笑ってた。日が変わって、誕生日が終わっても。

初回と違って、今回はかなり高かった。私の一月のバイト代より。帰りのエレベーターの中で、斉木くんと初めてキスをした。

一生忘れらない味がした。

その夜、安藤くんが家に来た。玄関に飾ってある大きな花束を見て、びっくりしてた。友達にもらったって言っておいた。


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