業火-8
ー第3章ー
崩壊
「なんだ、瑠美は行かないのか?」
と、父親が言うと母親も相づちを打ちながら瑠美に言った。
「先日の花火大会も一緒に行きたいって言ってたじゃない」
久しぶりに家族揃っての夕食の刻。花火大会から二週間が経ち、今日は近所の広場で夏祭りが行われる。
先日、家族で行けなかったので、両親が気を遣ったのだ。しかし、子供達はノリ気では無かった。
「何だか熱っぽくて…」
と瑠美が言えば翔太も同じように、
「学校の課題が残ってるから…たまには二人で行ってくれば?」
子供達の声に促されたのか、〈じゃあ、後よろしくね〉と両親は夏祭りへと出掛けて行った。
出掛けた後、翔太はさっさと自室へと消えて行った。
(あっお兄ちゃん…)
翔太の行動に瑠美は悲しさを覚えた。バス・ルームでの出来事以来、兄は妹の身体に触れようとせず、そればかりか顔を合わせようともしなかった。
自室で勉強をする翔太。だが、あの日以来、まったく遅々として進まない。
あの日、翔太は怖くなった。このまま快楽に身をまかせれば、自分が瑠美を汚してしまうんじゃないかと。だからこそ避けていた。
あの日の事を思い出しただけで熱く硬くなる。翔太はジーンズとパンツをヒザまで下げると、硬くなった自分のモノをシゴき出した。
その時、となり部屋の瑠美も同じようにオナニーに耽っていた。大きなヌイグルミを股に挟み込むと、腰を前後に振り恥骨を刺激する。
「う…んん…ふぁ…ぁん…」
瑠美はあの日以来、毎晩オナニーを繰り返していた。が、終わる度に虚しさだけが残った。
(もう嫌だ…こんなの…)
瑠美はベッドから起き上がると、翔太の部屋へ向かった。
「お兄ちゃん。良い?」
もう少しでイキそうだった翔太は瑠美の声に驚き、〈ちょっと待ってろ!〉と言うと急いで服を直した。
ドアーが越しに翔太が顔を出す。
「何か用か?」
それには答えず、瑠美は部屋の奥に入った。
「何、勝手に入って…」
翔太の声を瑠美が遮る。
「この間…この間の続きを…」
「オマエ…ああいう事は彼氏とヤレよ」
翔太は笑おうとするが、顔が引きつる。だが、瑠美は引き下がらない。
「お兄ちゃんとシタいの…これっきりでも良いから…お願い…」
そう言うと瑠美は着ている服をすべて脱ぎ棄て、翔太に生まれたままの姿を晒した。
「オマエ…」
その瞬間、翔太の頭は真っ白になった。