業火-4
ー第2章ー
好奇心
夕方。翔太はリビングで録画したビデオを眺めていた。そこに瑠美が入って来た。
「お兄ちゃん、これ見たいんだけど…」
そこにはDVDが握られていた。
「オレ見てんだけど」
「いいじゃない。すぐ済むから」
瑠美はそう言うとDVDを入れ替えて再生ボタンを押した。翔太は《やれやれ》と言って、ため息を吐いた。
画面は邦画で、封切りされた時に話題となったホラー映画だった。
「どうしたんだ?これ」
「お父さんの部屋にあったの」
翔太は壁にもたれたまま映画を見ていた。瑠美もしばらくは画面近くで眺めていた。
が、映画が佳境に入ると瑠美は立ち上がると翔太に近寄り、彼の身体に割って入り込んだ。
「オマエ、何くっついてんだ!暑苦しんだよ」
「いいじゃない。ちょっとだけ」
と言って退こうとしない。翔太はピンときた。
「オマエ、怖いんだろう?」
ニヤニヤ笑いながら言うと、瑠美はコクンと頷いた。それを見た翔太は頭を数回撫でると、視線を画面へと戻した。
映画はクライマックスを迎えエンド・ロールが流れ出す。二人が立ち上がろうとした瞬間、画面が変わった。そこには男女の性行為が映し出された。
「これって…」
(まさか親父がアダルト・ビデオを隠し持っているとは…)
二人はそう思いながらも、画面を止めようとはしなかった。
お互いの舌を絡め合いながら漏れる吐息。服の上から乳房を揉みしだく。
二人の脳裏に先日、神社での出来事がフラッシュ・バックする。あの時は暗がりで良く見えなかったが、目の前の映像は行為を鮮明に映し出していた。
翔太の手が瑠美の腰に廻る。思わず力が入り、身体を引き寄せた。
(お兄ちゃん…)
背中に〈異物〉を感じた瑠美。それが何であるか知っている。
裸体でお互いの身体を愛撫する。激しく声が漏れる。
瑠美が呟く。
「この間も…こんなだったよね」
「そうだな…」
翔太の掌が瑠美の内モモを撫でる。
(柔らかい…)
瑠美は兄の手を拒まず受け入れる。