西遊々記A-2
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「悟空、悲鳴だ!」
「・・ん・・・もうちょっと寝たい・・・」
川原での情事を終えた2人はそのまま草むらで寝入っていた。
「何をのんきなことを言ってる!?また妖怪かもしれん 行く
ぞ悟空」
そう言うなり三蔵は声の聞こえる川の中へと飛び込んで行った
。
「まったく・・・切り替え早いんだから・・・」
しぶしぶ従う悟空もまた 川の中へ・・・
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「お楽しみのところ失礼するよ」
ゴツっという鈍い音と共に、覆いかぶさる青年の力が抜け、あ
たしはその下敷きになってしまった
わずかな隙間から見えたのは下敷き越しに見た悟空だった。
「ご・・・悟空・・・」
あたしは名前を呼んだ
「まったく世話の焼けるヤツだ・・・」
三蔵は豚耳の青年をベッドから引きずりおろし、あたしはやっ
と重さから開放された。
「こいつ八海だ・・・」
横たわる青年を見下ろし、悟空は言った。
全裸のあたしにそっと毛布をかけながら三蔵もうなずく。
「いったい なんなの!!!」
訳がわからず思わず涙がでる。
こわかった・・・こわかったよ・・・・
そんな恐怖の気持ちを必死で抑えようとすればするほど、こら
えても涙が次々とあふれてしまう。
一人ヒザを抱えて泣いていると三蔵はそっとあたしを毛布の上
から抱きしめた。
なんであたしが?
どうしてこんな目に合うの?
疑問ばかりが浮かんでくる。
けれどこれはほんの序章でしかなかったのだ。
あたしは後々狙われる訳をひしと思い知らされることになるの
だった。