doll W-3
「ああっ。ちょっ、裕奈!?何しているのよ。」
智花は悲鳴のような声をあげた。振り替えると彼女の背中には裕奈がぴったりくっついていた。
「何って智花を洗ってあげてるの。智花の方こそ大きな声出しちゃって大丈夫?」
彼女の方はまるで当たり前の事のように言う。正気を確かめたいのは智花の方だというのに、裕奈はいつもながらマイペースを崩さない。
「そうじゃない。だから、どうしてあたしの身体を裕奈の身体で洗っているのよ。だいたい、今誰もいないからってここは旅館の温泉なんだよ。」
智花の文句が聞こえているはずなのに、裕奈は気にも止めずに身体を使って智花の背中を擦る。
「大丈夫。大丈夫。どうせ誰も来たりしないって。智花はそんなに気にしちゃうんだ。周りのこと。」
裕奈の艶めかしい肌、そして胸が智花の背中に幾度なくあたり、智花はそのやわらかな感触に酔う。
「うっ、やわらかい。って馬鹿。いい加減離れなさい。じゃないと、あたしまでおかしくなりそう。」
裕奈の匂いが石けんの香りが智花を包み込む。何も見えなくなる。何も考えられなくなる。理性という言葉を忘れる。
「おかしくなっていいんだよ。ほら、智花の身体って気持ちいいの。すごく暖かい。ねえ?智花も気持ち良くなってきちゃったでしょ。」
「そんなことあるわけっ!?ひゃん」
裕奈の官能的な響きにあらがおうとしたが身体が言うことをきかない。智花の意識は既に身体に届かなくなっていった。
大浴場の中にはかすかな水音と、肌の擦れあう音、そして喘ぎ声が響いていた。智花の背中は裕奈の胸と密着してゆっくりと、智花の反応を楽しむように裕奈の身体を使った愛撫は続く。
いつのまにか智花の小さな胸はボディソープを練り込まれるように愛撫される。それはさっきまでおとなしく座っていた湊だった。
「智花。いい加減素直になっちゃえば?智花だってどこか期待していたんでしょ。こうなるって分かっていたんでしょ。」
湊の豊かな胸の弾力が智花自身の貧しい胸を通して伝わってくる。智花は自らの身体をもって格差社会を感じていた。
「駄目、気持ちよすぎてひがむ気にもなれない。頭の中が熱くなって。って、まさか裕奈。このボディソープ!?」
快感に浸かっていた智花だが、例の薬となれば話は変わってくる。急に智花の温度は下がってくる。
「約束は破っていないよね。この薬はね直接肌に塗って浸透させることで、感覚を鋭敏にさせる効果があるの。こんな風にね。」
湊はソープの泡を胸に集めると、それをスポンジのようにして智花を擦る。
「やだっ。湊のおっぱい泡だって。あたし変な声出ちゃう。ああっ。ああっ!?」
湊の乳房で擦られて、快感が波のように押し寄せてくる。興奮から肌も紅潮した桃色の乳房。裕奈のいうように智花はそれを期待していたのだろうか。身体は思う以上に快感に従順だ。
「いいよ。あたし、智花のあえぎ声好きなの知っているでしょ?だから、もっとあたしに聞かせて智花の可愛い鳴き声を。」
もう、ここがどこであろうと関係なくなる。ましてや今日は裕奈と湊の二人から施しから受けている。潜在的に快楽を求めていた智花を崩すのは難しくなかった。
喉を通る息が熱い。智花は落ちる意識の中そう感じていた。肺が酸素を求めている。目の前の出来事が鈍く見える。