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doll
【同性愛♀ 官能小説】

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doll W-2

「はーい」
 口ではそういいつつも、湊も裕奈からも反省してはいないようだった。
「その妙に聞き分けがいい返事が余計不安になるのよね。」
「大丈夫よ。今日は何か飲ませるって事しないから。それとも智花はあたしを信じられないんだね。」
 そういって裕奈はわざとらしく泣き真似を見せていた。ほうっておいても良かったけど、裕奈ったら絶対泣き真似を止めないんだろうなって思ったから、智花は妥協することにした。
 三人は浴場へとつづく廊下を歩く。智花は不安を覚えながらも嬉々として進む二人の後をついていった。
 その途中裕奈は急に立ち止まった。
「どうしたの?裕奈」
 智花は立ち止まっている裕奈に尋ねる。
「あっああ。あたし忘れ物しちゃった。取ってくるから智花先に入っていてくれる?行こう、湊」
 そうやって裕奈と湊はそそくさと部屋に戻っていった。
「どうして裕奈の忘れ物を湊までとりに行く必要があるのよ。」
 やはり智花の不安は拭いきれなかった。


 智花が脱衣所に着いたときもほとんど貸し切り状態であった。内心、平日とは言え大丈夫かとも思ったがせっかくの休み、広いお風呂を独り占めできるのはやはりいい気分だった。
 忘れ物をとりに行くだけのはずだが、裕奈と湊はまだ来そうになかった。お風呂を前にじっとしているのも馬鹿みたいなので、智花は服を脱ぎ籠のなかへ入れる。
 今日は変な汗をかいたため今になって気持ちが悪い。服をまとめて脱ぎ、何もまとわぬ姿になると、智花は浴室へ入った。
「うわっ。結構広いんだ」
 想像以上の広さに智花は声をあげる。そしてそんな中を貸し切りで使える自分がいることに改めてこの旅館の経営を心配してしまう。
 苦笑を浮かべながら、下半身から順番にお湯をかけていく。初めのうちは熱いと感じていたお湯も熱さに慣れると、それほど苦にならない。
 全身にお湯をかけると浴槽へ浸かる。お湯が身体に溶けていくような解放感。いや、溶けているのは智花自身。この何とも言えない感覚を心地よく感じている自分は、やはり日本人なんだなと思う。
 しばらく智花はそのまま湯槽の中でくつろいでいた。冷えた身体を包み込むやわらかな暖かさ。それはいつのまにか智花の芯まであたためていた。智花は感嘆の息をつくと、身体を洗おうと浴槽から出た。
「それにしても、裕奈も湊も遅いな。」
 ふと、忘れ物を取りに行くと出ていった二人を思い出した。智花は裕奈も湊も自分のことを可愛い可愛いと言ってくれる。
 智花は鏡を見ながら二人のことを考えていた。嫌じゃないけれど、恥ずかしいし、二人のほうが自分よりもよっぽどきれいだと思う。

 浴室のすりガラスの向こうに誰かの人影が見えた。
「はあ、はあ。おまたせ。智花。」
 そう声を上げながら、ガラスの向こう側で二人が急いで服を脱いでいるのが分かる。
「裕奈?湊?わざわざ、息を切らすほど急いで来なくたっていいのに。」
 ガラス戸が開く音を聞いて智花は後ろを振り向く。裕奈と湊は浴室へ入ってくるなり智花に抱きついてきた。
「もうっ。せっかく暖まったのに身体冷えちゃうじゃない。だいたい、忘れ物でこんなに遅れる?」
 振り払わない智花も智花だが、抱きつく裕奈も湊もいっこうに離れようとしない。
「ごめんね。智花。お詫びにあたしたちで、智子の身体をあらってあげる。」
 そんな事より智花は、さっきから身体に触れているやわらかな胸の感触が気になってしかたなかった。
「別にいいって。自分で洗うから」
 裕奈が自分から言った事だ。そう簡単にあきらめるはずもない。
「遠慮しないでいいのに。智花は恥ずかしがり屋さんなんだから」
 湊はそう言いながら、智花に続いて裕奈と一緒に彼女を挟むようにして洗面台に座った。

 裕奈はボディソープの容器の頭頂部を押した。彼女の細く綺麗な手の内に白いソープが泡立つ。石けん独特の芳香が浴室内に広がり、智花は背中を裕奈に向けた。
「じゃあ、洗うね。」
 まったく智花の話を聞いていない二人の事は諦め、智花は裕奈の言葉に頷いて返した。
 裕奈の事だから背中のあらいっこしようなんて言うと思っていたが、予想に反した彼女の行為に智花は声をあげた。


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