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「風雲鬼」
【ファンタジー 恋愛小説】

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「風雲鬼」〜第二話『ミコの想いと泉の向こう』〜-6

視界が開けたそこには、驚きの光景が広がっていた。



「……すごっ……」


「これ……泉ね」


そこにあったのは、大きく美しい泉だった。

なにかここだけ時間がゆっくり流れているような、幻想的な光景。
木々が開けていて視野も広く効く、まさに野営地にぴったりの場所だ。

上を見上げると、綺麗な星空と真ん丸なお月様。
見慣れた景色だが、ぼんやりと眺めていると今日一日の疲れが吹っ飛んでいきそうだ。



「三雲。……三雲ってば」

三雲が夜空に見とれていると、衣服の袖をミコに引っ張られた。
なぜかミコは小声である。
三雲は視線を落として「どうした?」と聞こうとしたが、顔をミコに向けた瞬間口を塞がれてしまった。

何事かと思ったが一応抵抗しないでいると、ミコはすぐにその手を離して泉の向こう岸を指差す。
そしてまた声を潜めて言った。


「あそこ、見て」


ミコの指の先、泉の向こう岸に目を向けると……


「……え……
…あれ…人…?」

三雲は思わず目を疑った。

向こう岸に、桜色の衣服を着た、体の小さな子供が膝を折って座っている。
見た目、ミコと同じくらいの歳のようだ。
少し距離があるため顔がよく見えないが、髪が頭のてっぺんでまとめてられているのが分かる。
服の色も考えると、女の子だろうか。


……こんな山の中、しかもこんな時間帯に人がいるなんておかしい。
ミコはそう思って、三雲に注意を促そうと顔を上げた。


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