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「風雲鬼」
【ファンタジー 恋愛小説】

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「風雲鬼」〜第二話『ミコの想いと泉の向こう』〜-2

……ごめんなさい……


「…え?」



……かすかに聞こえた、それは確かにミコの声。
思わず俺は顔を上げる。

ミコは俺の胸に顔をうずめたまま、もう一度「ごめんなさい…」と小さく言った。

……なんでだ?
謝られるようなことされた覚えは無いぞ……

俺を押し倒してしまったから…?
俺の胸で泣いてしまったから…?

そうだとしたら、別に気にすることはない。
そう思って俺は、ミコの顔を両手で挟んでそっと引き上げた。

「なんで謝る…? ミコ、俺に謝らなきゃいけないようなことしたか?」

真っ赤に潤んだミコの目を見つめて言う。

言ってから、はっと気付いた。ミコの、こんな顔見るの初めてだ。
潤みを含んだ上目遣いのその目は、見つめられるだけで訳も分からずドキドキしてしまう。

「ミコ、いっつもそういう顔してたら可愛いんだけどな」
目を逸らしながら、照れ隠しも兼ねて言った。 そう言えば、なんか反論してくるだろうという期待もあった。

ところが、だ。
ミコは何の反応もしてくれなかった。

それどころかチラっと横目に見たミコの顔は、
恥ずかしさからか頬が赤く染まり、いつもの強気の目は弱々しく下を向いている。
らしくなさにも程がある。俺は心の内で嘆いた。もうこうなると、自分の体がどう動いているのか分からなくなってくる。
すると『ぽすんっ』と胸にミコの頭が落ちてきた。
いつの間にか、ミコの頭を支えていた手から力が抜けていたらしい。

やばいな めっちゃドキドキしてる。……これだけくっついてたらミコも気付いてるだろうな。



「……あのね」


しばらくの間の後、ミコはぽつりと呟いた。
「うん…?」と俺も、声を小さく合わせて聞き返す。

「今まで、ごめんさない。私…」
?ごめんさない?はこれで三回目だ。
ミコは、小さくかすれた声を少し震わせて、ゆっくりと話し始めた。

「今まで……私、歳が近い人と話したこと無くて……三雲にどう接していいか分からなかったの」

だから…、とミコは続ける。
今にも消え入りそうな声。俺は一言も聞き漏らさないよう、耳に意識を集中させた。

「……誤解しないでほしいの。三雲にキツく当たってたのは……私だけど……それは本当の私じゃないっていうか……」



 そう、

 ミコの言うとおり、彼女は職業柄、霊能者や占い師、仕事の依頼者など歳のいった大人しか相手にしたことがない。そのため、年端もいかない三雲のことを見下してしまうのも仕方のないことだろう。
 もちろん今は、その考えは大きく変わっているが。

 ミコは意を決し、顔を上げて言った。


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