運命=策略?-4
「先生、私はあそこに座ってもよろしいですか?」
「ん、もう好きにしろ。全く当てつけやがって。橘、これはあれか?旦那が出張中で寂しいアタシへの当てつけかっ?」
「何言ってんスか!?オレだって、那岐さんが来るなんてひとっつも知らんかったですよ!?」
知ってたらもっと心の準備を入念にしとくって。
「辰也。私達はもはや夫婦同然。名前で呼んでくれると嬉しいが」
「いや、その前に教えろ。何で転校してきた」
「それはあれじゃない?辰也に会いたいと言う愛が故に!!」
タマがそう言いながら『キャーッ』と奇声を発しているが無視!
答えを求める眼差しで那岐さんを見る。
「こんな衆人観衆の中で見つめられると照れる。出来れば2人っきりで見つめて欲しい」
「いいから教えろっ!!」
何、顔赤らめてんだっ!
……可愛かったじゃないか。
「私もこの運命に驚いているんだ。先週、いきなり母が転校しろと言い出した。友達もいるから嫌だと言ったが、母はこの学校に転校すれば泣いて感謝したくなると言い張った。そこまで強気になる母は初めて見たので了承したのだ。確かに感謝したくなった、泣きはしないが」
「いやっ、それは運命じゃない。策略だっ!」
主におふくろと那岐さんの母さんが仕掛けた謀略と言っていい策略だ。
「どちらにしても、私がこれからここで勉強するのには違いない。これからよろしく、私の愛しい人」
「…………」
せめて心の準備をさせてほしかった。
準備ができてれば、この喜びを素直に表せたのに。
オレは、ただそっぽを向いて頷くしかなかった。