【DOLL:typeM001】-2
『あっ…!…………くっ…。』
男の突然の態度に、少女は僅かに声をもらす。
その快感に負けまいと少女も腰をふる速度を早めた。打ち付けるように激しく。
男は与えられる、これまでに感じたこともない最高の悦楽に溺れる。
ギリギリになって、やっと少女は彼を解き放つ。
『…さあ……充分に……おゆきなさいっ……!』
許可を得た男は叫び声をあげて硬直し、全ての欲望を少女に吐き出した。少女は一瞬…男を悲しそうな表情で見て目をつむった━━……。
『…ああ…お前は最高だ……マリア……お前を呼んで正解だったよ。』
男はだらしなく体をベッドに横たえたまま言った。少女は事の処理をしながら深々と頭を下げる。
『…ありがとうございます…ご主人様……』
静かに少女は頭をあげ、自身の主人を見つめる。
『…それではわたくしは…部屋に戻りますが、ご用の際はいつでもお呼び下さい。』
男は満足そうに頷き…ああ、そうしてくれ…と声をかける。
少女は服の乱れを直し、再度頭を下げて部屋を出る。男はまたしても最高だ…と呟いていた。
少女は長い深紅の廊下を歩きながら思った。
ご主人様は変わっておられる。
昨夜からこの屋敷に呼ばれ、働くようになったわたしだが、一応は新しきご主人様のことは知っていた。
高い爵位を持ち、捨てて余るほどの富を有し、先代から受け継いだ領地も広大で……まるでこの世の栄華全てをおさめた方であるのに。
虐められるのがお好きとは。
幼少の頃から、自らの事をさせてもらった事がなかったのだろうか?それとも怒られる事や、また厳しくしつけをしてくれる者が身辺にいなかったから…という事なのだろうか。
ご主人様は罵られることや、叩かれること、羞恥を煽られる…といったことに非常に興奮を覚えるようなのだ。
趣向が変わっている…と言えばいいのだろうか。
しかしご主人様程の人物にそのような仕打ちが出来る者など…この時勢に…いるはずもなかった。まして誰か女を見付けてきたとして、その女からご主人様の噂が流れない保証もない。
そこでわたしは屋敷に呼ばれた。…正確には商品として売られているわたしを買い取って下さったのだが。