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【DOLL】
【SF 官能小説】

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【DOLL】-1

……ゴポ……ゴポッ……コポポッ………。

『……ぷはっ!』

乳白色の液体の入った水槽。
そこから顔を出したのは…

幼い少女。

目は青く、長い黒髪が、液体と共にその白い肢体にまとわりついている。

少女は周りを見渡す。

不可解な数字が羅列されたコンピュータ、心電図、何万本ものチューブ、規則的な鼓動を打つタンク…そして、少女が今浸かっているのと同じ水槽が暗い空間を埋めつくしていた。

少女はこの空間に、虚無に、怯えていた。

『…誰か…』

叫んでみたが自身の声はコダマするだけ。

このチューブは何…?
ここはどこ…?
…私は……誰?

頭の中を探ってはみるが何も出てこない。

……怖い…。

恐怖……それ以外の感情を見い出せなかった。不思議なほどに頭は空っぽだった。何も覚えていない。

少女は自身の体を見た。腕やら脚からチューブが何本も生えていた。
それを見て少女は眉をひそめた。チューブに手をかけ、引き抜こうとした……が、猛烈な頭の痛みと共にそれは阻まれた。
少女は突然の激痛に表情を歪ませ、頭を押さえる。

しかし、少女の試みは無駄には終わらなかったようだ。
その引き抜こうとしたチューブから、何らかの電気信号が流れ、それはコンピュータへと繋がった。

……ビッ………ビビビッッ…ビビッッ………ブツッ……!!

コンピュータは自動的に動きだし、そして切れた。
途端に少女のいる一角だけが、その動きを止め、急に静かになった。

少女はその様子をさらに身を固くして見守っていた。心音は一層高まり、早音を打っていた。

虚無の続く空間。
無数の水槽。
ヌメリを帯びた生暖かい液体。
己の存在。

様々に疑問は沸き上がってはくるが、それすら恐怖に打ち消されてしまっていた。


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