Happy Birthday-9
「…開けてもいい??」
返事を待たずに、箱に手を伸ばした。
はやる気持ちをこらえて、丁寧に包みを解き開ける。
中から出てきたのは………スパイクだ!!
貰ったときの何倍も驚いて、思わず母さんの顔を見る。
「この間、『小さくなった』って言ってたから。今まで履いてたのは、洗って貴之の部屋に置いてあるからね。」
……!!
置いてある!?
今、確かにそう言ったよね!?
部屋まで走り、スパイクがあることを確認する。
あった…!!
母さんは捨てたりしていなかったんだ。
なのに僕は、勘違いして…。
母さんのところに戻ると、顔も見ずに「ありがとう」と「ごめんなさい」を言った。
小さい声だったから、母さんには届いてなかったかもしれないけど…。
今はまだ照れくさいけど、いつか母さんの顔を見てお礼が言える日がくるよね??
そして、きっとその日まで母さんはいつもと同じように、僕の傍にいてくれるんだよね。
なぜなら、母さんは僕のことが'好き'だから。
もちろん僕も母さんのことが'大好き'だ!!
―貴之9歳。
少しずつ成長していく貴之。
これからも悩んだり、迷ったりすることがあるだろう。
でも、私はいつまでも貴之の見方でいよう。
貴之、大好きよ。
…産まれてきてくれてありがとう。―