ツバメF-3
ヤバイヤバイヤバイ…
もうお昼じゃん…
デスクで黙々と昼食を食べながらも、頭の中は今夜のことでいっぱいです。
ヴー…ヴー…
『はっ!』
燕からメールだ。
これは助かるかもしれない。
昼休み、廊下で芝さんと出くわす。
「……返事は」
『……』
やはり足止めされ、返事を促される。
『……あの、今日は……その…彼氏から呼ばれてるので…』
「彼氏?」
『は…い』
首をかしげる芝さん。
やば、ダンディーなのにちょっと可愛い。
不謹慎ながら、苦笑いしてしまった。
「彼氏がいるのか」
『はい』
「……」
すると芝は黙り込む。
何を考えているのだろう。
まさかあたしに彼氏がいるとは、とか、どうやって彼氏のいるあたしを説得しようか、なんて考えていたりして。
またあたしは無意味に妄想を始めるのだった。
しばらくした後、芝は小さな声で言った。
「……じゃあ、いい」
『へ?』
今なんて言った?
「もういい」
芝は振り返ろうとする。
ラッキー!
あ、でも……
『あの!私はクビなのでしょうか……』
これは聞かなきゃ。
「……クビなんてしない」
『……』
心の底から燕に感謝した。
燕から連絡が来ないと、こんな方法は思い付かなかった。
『よかったあ…』
大きく息をついて辺りを見回すと、自分が廊下でいつまでも立ち止まっていることに気付き、赤面した。