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ツバメ
【大人 恋愛小説】

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ツバメF-4

「……なんでそんな笑顔なのさ」
『えー?そーおー?』
「………キモ」
『な、に、?』
「………いえ」
その日の夜、燕にご馳走を振る舞ってあげた。


カレーだけど。



ストレスの種が消え、ハイになりまくりのあたし。

あー、明日は晴れかなー?





『おはようございます!』
職場でも元気に挨拶。
みんな変な顔で見てくるけど気にしない。

「綾瀬さん、悩みは解消したみたいだね」
『あ、うん!さあ仕事仕事!』
「はーい」
千川くんと少し話して、さっそく資料のコピーを始めた。




『お疲れ様です』
今日は少し残業し、いつものように帰途につく。

はずだった。

『……』
会社の前には芝さんが立っていた。
「……綾瀬くん」
『は……い』
「少し話したい。すまないが来てくれ」
『………』
断ろう。
『あの』
「下心はない。妻のことで話を聞いてほしい」
『……』
奥さんのことで相談があるのか。それなら仕方ない。
でもなぜあたし?
そんなことを考えながら、後ろをついていく。

小さな公園に着いた。
てっきりお茶でもしながら話すのかと思ったが、大した話ではないのかもしれない。

「実は、妻から離婚を言い渡された」
『え……』
近くのベンチに座ると、第一声はそれだった。
「……どうやら、妻は探偵に依頼していたらしい。」
内容はあたしでもわかる。
「私の素行を調査していたらしい」
『……それで、あっさりバレちゃったってことですか』
「ああ」

気まずい。かなり気まずい。
「今朝、離婚届を突き付けられてな」
『……サインするんですか?』
「ああ。慰謝料たんまり請求されたよ」
芝はそう言って、自嘲的な笑みを零した。

一瞬、“可哀相”感情が脳裏を掠めたが、すぐに立て直す。
自業自得だ。


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