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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.5-7

「いや、次の体育……瀬田の出欠を確認したくて」
俺、体育の教科委員だろ?と鷲尾が付け加えて言う。
「……出るのか?」
鷲尾は瀬田から何かを感じ取ったのか「もし具合が悪いならサボっても良い」とまで言った。
急かす事も焦らす事もせず、ただ黙って待つ。巨大な体の持ち主は心まで巨大らしい。
瀬田はこの広い心に何度救われた事か、と考える。クラスで孤立気味の瀬田にとって、唯一心許せる相手が鷲尾だった。

「……出る。ジャージ、貸して」
瀬田が下から悪戯っぽく鷲尾を見上げた。鷲尾はただ黙って微笑む。
「…って、俺だって体育なんだけど」
はた…と気付いたのは、瀬田が自分のジャージ袋を既に漁っている頃だった。大き過ぎる気持ち故か、気付くのも遅い。
漸く気付いた鷲尾に笑いを堪えきれないでいる瀬田は「いいよ、制服で出るから」と言った。
鷲尾の雄大さは長所でもあり、短所でもあるに違いない様である。


特進クラス、こと特別進学クラス。3年5組はそう呼ばれていた。文系と理系に別れ、主に勉強の出来る奴か、進学を試みたい奴らが集まったクラスだ。
何処にでもある様な三流高校。生徒の大半は就職組だったりする。だからかも知れない。特進に居るだけで羨望のまなざしで見られるのだ。
今井や太刀川の様にフラフラしてる奴も、矢田の様にチャラチャラしてる奴も、鷲尾の様な真面目な奴も、全て一纏めで「出来るヤツら」と認定されてしまうのだ。


「俺、四限目の体育って超嫌い。マジ腹減るし、弁当買いに行くの遅れるし、最悪」
「でも五限目よりましだよ。気分悪くなるじゃん、眠いし」
「だよな〜」
口々に文句を言う奴等の後ろから、とぼとぼと瀬田と鷲尾が後を続く。
男子は校庭でサッカー、女子は体育館でバレーらしい。

背の小さい瀬田だが運動は得意な方だった。だが、人前であまり披露する方ではないので大半の生徒は知らない。
今日もクラスの中で目立つ今井や太刀川に(サッカー部らしい)指定され、自軍のゴール前を守るディフェンダーに徹していた。
ちなみに、鷲尾は体が大きいので瀬田の真後ろでキーパーをしている。
自軍優勢。
そばに居る同じディフェンダー仲間の清水(足手まといらしい)と顔を見合わせて大きな欠伸をした。


ボールが宙を舞う。あっちへ行ったりこっちへ来たり。目の前が段々渦を巻いていく様だ。
瀬田は激しい吐き気を感じていた。
立っている足が自分では無い様な気までしてくる。足先の感覚は既に分からない。
体の芯が痺れた様で頭が重い。嫌な吐き気が背筋に冷たい汗をかかせながら忍び寄る。
目を閉じると危険な気がした。だが閉じずにはいられない。
まぶたの内側でパチパチと火花が飛ぶ。
体が急に軽くなり、瀬田の意識が闇へとさらわれる。

そう。瀬田は膝からガクンと崩れ落ち、鷲尾や清水の目の前で、まるで大きな荷物の様にドサリと倒れたのだ。





瀬田がきちんと意識を取り戻したのは午後の授業も半ばの辺りだった。
きちんと、と言うのは一時的な目覚めを除いて、と言う意味でだ。
サッカーの途中で倒れた瀬田は、鷲尾に担がれて保健室のベッドに移動した。鷲尾の背中で一時的に意識を回復させたが、昨日の不眠が溢れ出し、貧血によって倒れた体に強制的な睡眠が訪れたのだ。
何度か寝返りをして体のあちこちに意識を回す。自分の体がきちんと動ける事を確認すると、瀬田は静かにそしてゆっくりと起き上がった。
周りには誰もいない。カーテンで区切られた他のベッドも普段は居るであろう保健医の気配すらしなかった。


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