【DOLL】-2
『…誰か…』
誰か…助けて。
……カチャンッッ………
……?
どこか遠くの方から音が聞こえた。
………パタン……
少女はその方向を振り返り、じっと目をこらす。
…………ッ……カツッ…カツッ…カツッ、カツッ…カツッ……
徐々に足音は近くなる…と、共に暗闇から白いものが浮き上がるのが見えた。それが徐々に白衣を着た人であるのが分かった。
少女は一瞬怯えたが、この虚無から解放されるのでは?とゆう歓びなのか、不思議と恐れはなかった。
その人は少女に笑みを向けた。
『おはよう…ドール、………やっとお目覚めかい?』
少女は訳が分からず、困った表情を見せた。
その人はふふっと笑うと、当たり前か…と呟いた。
『…困惑しているね……そんな表情も中々に可愛いじゃないか……まぁ…それを作ったのもわたしなのだけれど』
そう言ってその人は少女に手を伸ばした。少女は怖じることなくされるに任す。
手は少女の白い頬に触れる。
その瞬間、少女は触れられた箇所から、大きな安らぎと温かいものが流れてくるのを感じた。
はっと目を開ける。
空っぽだった頭の中を何かが埋め尽くしてゆく。
…そして己が使命に気付く。
少女はその人の手を取り、恭しく口付けをする。
一瞬の服従の儀式。
少女は口を開く。
『おはようございます…マスター……。このドールは御父であるあなた様の肉奴隷…なんなりとお申し付け下さいませ。』
その様子をマスターは微笑んで見守っていた。
少女はこうして生まれた。幾千幾万の同じ少女の一人として……。
彼女たちはドール。
肉奴隷となるべくこの世に生を受け、調教されてゆくのだ。