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夜の学校
【ミステリー その他小説】

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夜の学校-2

「ねみぃねみぃねみぃねみぃねみぃ、おおねみぃ」
「さっきからなぁ。そればかりうるせえんだよ!」
ねみぃを連呼する俺に近藤がいらいらして言った。だって眠いんだもん。
「お前だってさっきからファーファーあくびの連発じゃねえかよ」
「わ、悪かったな。俺も眠いんだよ!」
俺たち二人、少なくとも俺にとって十時という時刻はすでにお休みタイムとなっているのだ。俺は健全な高校生だからな、早寝早起きを座右の銘にしているぐらいだ。ところが、この近藤の意味のわからない作戦によって俺の健康的な生活バランスは崩壊の危機に瀕しているのだ。
「なあ近藤、やっぱり帰ろうぜ。きっと今夜は誰もいない。ほら校舎に人の気配はないし、うん誰もいなさそうだ。まさしく平和な夜だぜ。よし、帰ろう」
「ばかやろぉ。まだ入ってもいないのに勝手に決め付けんじゃねぇ…よ」
そう言ったあと、近藤はまたあくびを一つ。うーむ……全然説得力を感じんな、こいつの意気込みには。
しかし近藤のやる気はまだありそうだったので、ここで説得するより校舎に入って誰もいないことを確認して奴をあきらめさせたほうがよさそうだな。
「よーし、それならさっさと入って侵入者を探ろう、そしてちょっとインタビューして怪しいかどうかを確かめればいいんだな?」
「なんだその、お前のさっさと行ってさっさと帰ろう的な態度は!? その態度を改めろお前……」
そう言って近藤は再度あくびをした。今日最大級の規模を誇るあくびだ。これは帰れるのも時間の問題だぜ。いや、でも下手をすると近藤が校舎内で寝てしまうことも考えられるな。そのときは、せめてベッドのある保健室で健康的に寝たいものだ。
だが、そんなのん気な考えは一瞬にして俺の頭の中から消え去った。そのとき俺はあることに気づいたのだ。それも超超ベリースペシャル大事なことだった。
「!?」
「どうしたんだよ。急に顔を青ざめちゃってよ。もしかしてお前いまさら幽霊が怖いとか言い出すんじゃねえだろうなあ。どうだ、図星かい?」
 近藤がニヤニヤと笑いながら俺の様子を伺っている。もしかしてこいつ…いやな予感が…。
「なあ、近藤…一つ聞くが…」
「ん? なんだよ。お化け関連以外の質問なら答えるぜ」
「昇降口の鍵ってお前持ってるか? それがないと、学校…入れないだろ?」
 とたんに近藤の顔つきが変わった。やはり予想通りのバカだったようだな。
「あっ…鍵ってそんなのあったっけ?」
「……なんだと!?」
 奴のふぬけた返答を聞いた瞬間、俺の体に十万ボルトの怒りエネルギーが即効で充てんされた。
この野郎とぼけやがって! 今、俺の血管の状態は決壊寸前。これ以上我慢していたらぷっちりと切れてしまうだろう。
「い、いや、夜の学校に思いをはせるあまりそんなこと気にもかけなかったよ。すまん……」
「そんなことって。てんめー! 俺をこんな時間に無駄に起こしてタダですむと思うなよ!?」
俺がゴッドハンドが奴の首根っこをつかんだ。よし! 俺の鉄拳の標準が奴の脳天にロックオン! そして今、亀田級のストレートパンチを奴の脳髄にかましてやるぜ。残念ながら命の保障はできないよん!
「ま、まて……俺が悪かった。本当に待ってくれ。ほら、まだ学校がしまってるとは限らないだろうが。ほら落ち着けって!」
 こんなときに命乞いか近藤? いまさらそんなありもしないことをいっても意味がねえんだよ大バカ野郎!
「バカ言うな! こんな時間に入り口の鍵を開けてる学校がどこにあるんだよ!?」
「そら、待ってくれ待ってくれじゃあ俺がいまから確かめに行くから」
「ああ、そうだな。ただし、逃げるなよ?」
 俺は近藤をつかんでいた手を離し、確かめに行かせた。奴はへっぴり腰で昇降口の扉が開いているかどうか見に行く。俺はというと奴がいつ逃げてもいいようにより早いスタートが切れる準備をしていた。
「んっ? おっおい! おおおおおおおお!」
 ガラガラガラガラガラガラ!
 近藤が勢いよく昇降口の扉を開けた。どうやら校舎の昇降口の鍵は開いていたらしい。扉が開いたことがそんなにうれしいらしく、ぴょんぴょんと両手を広げて飛び跳ねている。気味のわりぃ踊りだ。それにしても…。


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