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麻薬
【女性向け 官能小説】

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麻薬 anotherscene-2

食べ終わり、いつものように食後の一服、と煙草に火をつけようとすると、
「煙草、吸わないで」
と、いきなりストップをかけられた。
「なんだよ、珍しい」
「・・・・・・」
沙希はうつむいていた。
膝の上でしっかり握られた指の関節が白くなっている。
「お前・・・どしたの?最近、会社でもほとんど目も合わさないし、土日も会わねーし」
「・・・・・・」
「なぁ、沙希。話ってなんだよ」
沙希はなかなか顔をあげようとしなかった。
テレビの音だけが、むなしく響く。
ほんとに、別れ話なのか・・・?
重苦しい空気に耐え切れなくなってきたとき、沙希が口を開いた。


「・・・こども、できた」



「え?」

子供・・?って、子供?

「大輔の、子だからね。一応言っとく・・・けど」
「え、ああ、うん。俺の子ね・・・」

駄目だ、頭が働かない。
子供?
俺の?

てことは、沙希は・・・

「妊娠したのか?」
その言葉に、沙希がビクリと身体を震わせた。
よく見ると、握り締められた手も、傍から見てもわかるくらいブルブルと震えている。

「4週間・・・って言われた。先週、病院行ったの」
「4週間・・・」
沙希は、ここんところピルの服用をやめていた。副作用なのか、頭痛が出てきたからだと言って・・・
だから、避妊は一応していた。
でも、流れでと言うか興奮が抑えられなくて、避妊しなかったことも何度かあった。
そのせいか。
沙希の中が気持ちよすぎて、ナマでしてしまうこともあった。
本当に名器だ、沙希の・・・

「あ、あたし・・・堕ろさないといけない、よね」
「え?」
バカな想像をしていた俺が、現実に引き戻される。
「堕ろすのか?」
うつむいていた沙希がばっと顔をあげる。
「だって・・・!だって、大輔に結婚の意識なんか全然ないでしょ!?こないだだって、『まだ結婚はいいや』とか言ってたじゃん!」
先輩の結婚式の帰りに言ったことか。。
「あれは、金かかるなぁって話で・・・」
確かにさっきも、まだ早いかと思っていたけど。
でも。
「じゃあ、産めないじゃん、あたし・・・」
沙希の目から涙がこぼれた。
「おい、勝手に話を進めるな。お前を妊娠させたのは俺だろ」
更に涙がこぼれた。
「だって、だって・・・ちゃんと避妊しなかったし。あたしも、ついいいかって思っちゃってたとこあったし・・・でも、生理こなくて、怖くて・・・」
「ごめん。避妊しなかったのは、俺の責任」
「責任なんて・・・!」

「だから、責任取る。結婚しよう」

沙希が、目を見張った。


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