『名のない絵描きの物語〜列車編〜』-5
『これは貴女にプレゼントする事にしましょう。
今からおこる事が恐ろしければ、貴女は雲だという事を思い出して下さい。
願わくば、今日の様な天気になる事を期待して。』
一枚の絵を私に渡して、窓の外から出てってしまった。
羊はまだまだ線路をまたいでいて、列車が動きだすにはまだしばらくかかりそうだ。
羊雲がすこし笑った様に見えた。
私は嬉しくなって聞いてみた。
「なぜ笑っているの?」
雲はすこしはにかんで言った。
私はどこまでも行けるのだからって。