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お見合い=出会いの場?
【コメディ 恋愛小説】

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お見合い=出会いの場?-1

「どうか私を、もらってはくれないか?」
目の前で、綺麗に着物を着た、これまた和服の似合う日本美人がオレにそう言った。
え?
ええ?
えええっ!?
「いやいやいや、ちょっと待った…」
「何か…問題でもあるのか?」
「だって、おかしいだろ!?」
そうおかしいのだ。まずここまで至った経緯がおかしく、今の彼女の発言でさらにおかしくなった。
何故なら……。
「俺たちまだ、高校生じゃん!!」
そう、オレ…橘 辰也は当年とって17歳。
で、テーブルを挟んだ反対側の着物美人…那岐 瑠璃さんも17歳…らしい。
どう考えても、高校生活真っ只中な年齢だし。おかしくないか、高校生でお見合いって。
漫画なんかじゃ、親同士が決めた婚約者……みたいな展開あるかもしれんが、これはおかしい!
つーか、よく考えたらオレ結婚できねーし!!
「おかしくはない。ここはお見合いの場。つまりは結婚を前提に出会う場じゃないのか?さっき君がそう言ったじゃないか。そういう考え方もあるのか…と、私はその言葉に感銘を受けたんだ。それで、私を是非とも君のお嫁にしてほしい思った」
うわぁ、凄い直球だ。
確かに言ったけどさぁ……。
感銘って……ただ聞かれたから思いついた言葉を言っただけだし。
何かややこしい事になってきた。
なぁんでこんなことになったのかな?
と、オレの脳みそは都合良く、二週間前へと現実逃避を始めた。


『お見合い=出会いの場』


「ね、会うだけだから」
何やら真っ白い二つ折りにされた型紙をオレに差し出しながら、母親は猫なで声で言う。
「会うだけだからって、またオーソドックスな言い訳だな。お見合いなんて、三十路が近づいてきてヤバくなった男女がするもんだろ?」
寝そべりながら、雑誌を片手にせんべいかじるオレが言う。
「あら、やっぱり最近はそういうイメージが定着してるのねぇ」
だいたいそんなもんだろ。お見合い結婚が主流だった母さんたちの時代とは違うんだな、これが。
だが、母さんは怯まない。むしろ積極性が増した。
「ともかく、会うだけだから。相手もあんたと同い年だし、大丈夫よ」
「いやいやいや、同い年って時点であり得ん。なんで高校生同士でお見合いせにゃならんの」
そう言えば、母さんは目を輝かせ始めた。
ヤバい。話しが長くなる上にいい年こいて親父とのノロケ話のダブルコンボの前兆だ。
「聞きたい!?そう、あれは母さんがお父さんと……」
「ああ、はいはい。そこはもうアカペラで言えるぐらい聞かされたから、要点だけね。要点だけ」
「むぅ、辰也が親の言うこと聞かなくなった」
むくれたって聞くか!
ちなみにこの後、砂浜での出会いから親父の腹筋が割れててカッコ良かったわ…に続いて、一夏のアバンチュールを楽しんだの…で終わる『父さん母さん出会い編』だ。
ほかにも『交際スタート編』とか『初喧嘩編』、『結婚編』に『子育て編』と実にバリエーションに富むのだ。聞いてられるか。
「……要点だけ言えば、彼女のお母さんは母さんと同級生だったのね。母さんたちと同じぐらいの時期に結婚したんだけど、この前旦那さんが亡くなって…」
あ、そういやこの前誰かの葬式に行ってたな。
つーか、同級生だったら『出会い編』から言う必要ない。


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