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いつか、目の前に
【コメディ 恋愛小説】

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風に連れられて……(到着)-2

白い壁、白い扉。
ヨーロピアンテイスト漂うたたずまい。
「ここが住居です」
扉を開けて、促されるままに扉をくぐる。
広い、玄関だと言うのに俺の部屋の倍以上はある。
「嬢、遅かったね」
奥からジーパンと無地の白いタンクトップを着た女性がやってきた。
「田口さんはまだ出発してなかったんですか? お昼には出るって言ってらしたのに」
田口と呼ばれた女性はめんどくさそうに頭を掻いた。
「文爺がさ、ワシも乗せてけってさ。で文爺まちって訳」
田口さんはミナモの隣に立っていた俺に視線を向けた。
「君が北川君かな?」
「あ、はい」
「私、田口咲。この家でお手伝いしてる。いわばメイドだ、萌えるだろ?」
ジーパンと無地の白いタンクトップで言われてもな……
「田口、またせ……。嬢、帰って来たんか」
頭に白い手ぬぐいをバンダナの様に巻き、茶色い丸グラサンをかけた老人が田口さんの来たほうからやってきた。
「ってことは、あんちゃんが北川かい? いやぁ、順一郎の坊によぉ似とる」
俺の顔をまじまじと見つめて来る老人。
「北川君、こちらは山原文重郎さん。庭師の方です」
「よろしくな、北川の坊」
文爺に手を無理やり握られ、思いっきり上下運動。
肩が取れるぅ〜。
「文爺、早く行くよ」
「あいあい、じゃあな嬢を頼んだでな」
文爺は手を大きく振り、田口さんは車の鍵を手のひらでもてあそびながら出て行った。
「面白い人達だね。いつもこんな感じなの?」
「ええ、毎日」
ミナモはマナミちゃんをベビーカーから抱きかかえ、片手でスリッバを器用に並べる。
「どうぞ、上がってください」
ミナモは笑顔で言った。


母屋から北に徒歩5分。
中山邸のゲストハウスがある。
年に数回、海外からの来客を迎えるために建てられたものだ。
今は誰もいないはずのこの建物に、二つの影が入って行った。
「なかなか、うまく行ったわね」
「あの二人をくっつける作戦第一段階成功じゃな」
田口と文爺、実家に帰るはずの二人がそこにいた。
「これで、坊やが根性見せれば言う事ないんだけどね」
「無理じゃな、北川の坊には嬢を押し倒すようなマネはできん」
「だとしたら」
ニヤリと笑う文爺。
「ワシらが手伝ってやればいいんじゃよ」


「いいかお前等、だから地球が温暖化してオゾンホールも広がるんだ」
《いったい何の話なの? なんか説教から環境問題になってない?》
《黙って聴いてろ》
「だから、この頂点Aから線分BCに垂線を」
熱くなって説教する巡査長。
もう自分でも何を言っているのか分かってはいない。
《あ〜ん! 早く帰りたいよぉ〜!》
西口の叫びもむなしく、説教はこのあと3時間続いた。


〜続く〜


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