『ご主人様の気持ち』〜最終話〜-2
「ぁぅっ!」
乱暴に指を刺し込み回転させます。
私はされるがまま耐えました。
目を閉じて見ないようにしました。
指を往復させ、クチュクチュと音を確認した聡志様は、自身のモノを取り出し、私の足を開かせ押し込んできたのです。
「うぁっ・・・ぁ!」
悶え苦しむ私の声。
まだ完全に濡れていない秘所も、悲鳴を上げていました。
引きつる痛みのまま開始された律動。
「ぃいっ!」
痛いとさえ訴えられない激しい動き。
開かされた手首に伝わる聡志様の重み。
逃げようと思えば逃げられました。
ですが、私はしなかった。
いいえ、出来なかったのです。
何故なら聡志様には、怒りと更に憎しみが加わっていたからです。
私には分かりません。
聡志様の怒りの意味が、憎しみの訳が、分からなかったのです。
分かったのは、
ジッと耐えていた私の目から、涙がこめかみへと伝ったこと。
気付いたのは、
包帯を巻かれた右手で、聡志様が私を押さえていたこと。
怒りと憎しみを宿した顔が、腕が、猛りが、私にぶつけられていることだけ。
「うっ・・・!」
身体の揺さぶりが早くなり、唸り声が聡志様の口から漏れると、
「うぁ・・・ぁ」
ドクドクと私の中で迸りの液を吐き出したのです。
終わるとすぐに聡志様は身なりを整えました。
身体を投げ出したままの私に、無表情な顔を向けました。
あんなに心地よかった指。
あんなに優しかった顔。
あんなに愛おしかった聡志様との行為。
全てが嘘に変わり、全てが打ち砕かれた悲しみが私を襲いました。
「な・・・ぜ・・・」
声が、身体が、心が震えました。
切なくて涙が止まらず、顔を手で覆いました。
「何故、こんなことを・・・」
訳が知りたかったのです。
言って欲しかったのです。
何に怒り、何に苛立っているのか。
こんなにも、何に憎しみを募らせているのか。
知らせて欲しかっただけなのです。
急速に性欲を高め、吐き出される行為に、私は聡志様にとってただのはけ口だったと、改めて痛感しました。
本当は分かっていたはず。
十分理解していたはず。・・・・ですが、これまでの夢のようなひと時がそれを忘れさせ、勘違いさせていたのです。
私は自分の勝手な想い込みに、小さく嗚咽を漏らしました。
訪れるはずもない未来の幸せを、少しでも想像していたバカな自分に、涙を止めることが出来なかったのです。