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嫁が、バーゲンへ連れてけと。
【コメディ 恋愛小説】

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嫁が、バーゲンへ連れてけと。-3

颯爽と人混みの中へ消えた嫁を見送ったあと、俺はすぐ側にあるエスカレーターに乗り上階へと向かった。
確か、上には本屋や電気屋が在った筈。
暇潰しには打って付けだ……
が、嫁にふっかけられたゲームの答えを、暇を潰しながらも用意しておかなければなるまい。
俺がアイツに着て欲しいもの……
スカート? ワンピース?
うーん、別に何だっていいんだがなぁ……

いや、ゲームのルールによれば「俺が望むモノ」と「アイツが買ってきたモノ」が一致してしまうと俺の負けになる。
かといって、何か突拍子も無い答えを用意したところで、機嫌を損ねて後々面倒になるのは厄介だから、それなりの答えを用意しなければならない。

「スカート…… で、いいかなぁ」

思わず呟いたその時、ポケットの中で携帯が震えた。

「もしもし? 買ったわよっ! 今、上に居るの?」
「ああ、早かったな。上に居る」
「本屋?」
「……の前」
「わかった、行くから待っててっ!」

嫁からの電話に足を止められて初めて、俺は自分が少しだけ立ち読みをしたかった事に気が付いた。
そして、もう少しゆっくり選んで来ればよかったのに、と微かなため息をつく。

「ねえ、なんで、ため息をついてるわけ?」

背中からの声に驚いてて振り返ると、気付かぬうちに嫁がそこに居た……

が!

何やら洒落た水色のワンピースを纏って、薄手の白いカーディガンを肩に軽くはおっている……

まるで…… 
その、なんというか……

(可愛いい…… な)

「あれ、なんで黙ってんのよ」
「……いや、どうしたんだ? それ」
「うん、気にいったから、買ってそのまま着てきちゃった」
「そ、そうかぁ……」
驚いた……
装いヒトツで、こうも随分と変わるものだ。
ことに、この女に関しては、昔から滅茶苦茶な性格を除けばルックス的には全然問題無……
「ちょっと、な〜に赤くなって固まってるのよっ?」
悪戯を成功させた少女の様に、鼻を鳴らしながらニヤニヤと笑う。


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