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嫁が、バーゲンへ連れてけと。
【コメディ 恋愛小説】

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嫁が、バーゲンへ連れてけと。-4

「な、別に……」
「はは〜ん、さては。この服で正解だった様ねっ?」
「いっ…… 違うぞっ、俺はスカー……」
「あははっ、アンタってば顔に出るから、すぐに解るわよっ♪ さぁ、観念してランチを奢るのよっ!」
「……人の話を聞けっ」
言い終えないうちに、嫁は俺の左手を奪うと、勢いよく引きながらエレベーターのある方へ歩き出した。
その背中から、毎度お得意の勝ち誇ったニヤケ面が容易に想像出来て大いに不愉快だが……
それと同時に、なにやら背中のファスナーの部分からぶら下がっているのが見えた。
(値札? だな……)
店員が外し忘れた? いや、せっかちな性格の嫁に急かされて、店員が外し忘れたと言ったほうが正しいだろう。
そういえば、嫁の性格を考慮に入れても、今回は随分早い買い物だった。
もしかしたら、最初からこのワンピースを買うつもりでいたんだろうか……
電話をしてから此処に来るまでも、物凄く早かった様な……

なんとなく、なるほど、と思う。

そして、そんなに早く俺に、この服を見せたかったのかと思い、思わず少しだけ笑ってしまった。


まあ、ラーメンくらいなら奢ってやるか。
ただし値札は、さっきのゲームのおかえしに、しばらくそのままにしておく。
後でコッソリ外してやる事にして……
そんな事を考えながら俺は、前を行く俺より一回り小さい背中に声をかける。

「よし、ラーメン食いにいこうぜ?仕方ないから奢っ……」
「だめっ、回らないお寿司っ!」
「………」


おしまい。


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