チキンのススメ！-8
何か温かくて…大切な物を、手に乗せている様な…
そんな気持ち
ただ、守ってあげたい
人によっては、それを恋だと呼ぶのかもしれないけど…オレの観点では違う
が、どうやらオレは彼女が大切らしい…
それは確か…なのに、
その気持ちとはまるで裏腹に、オレの心は不思議な感情で満たされている
何だ？この気持ち…彼女が怖いような…
彼女を大切に思ってる事を自覚した途端に…何故か
彼女を怖がるオレが生まれた
本気で泣いて…悲しみをぶつけてくる彼女
そしてオレは、
彼女が言って欲しいと思う言葉を実は思い付いてた
それは、彼女の悲しみを少しだけ和らげて…
彼女の支えにもなるはずの言葉…
ソレを彼女に言って…
あとは、いつもみたいに
ふざけて…彼女の気持ちを少しでも楽にしようとするだけ…の筈なのに
彼女が怖い―…
それはきっと彼女が家族に感じてる思いにカタチが似てる
大切だから、その言葉を…本気で伝えたいと思う
大切だから…その言葉が伝わらないのが怖い
本気の彼女の悲しみ…
心の闇
それに本気の自分の言葉を…心を触れさせて
拒絶されるのが怖い…
本当の自分を…否定されるのと同じ気がして―…
（何考えてんだ？オレ…
そんな深く考えこまなくても…伝えなきゃならない事があるのに…）
ずっと思ってた、
人には怖くても進まなきゃならない時がある
そう、例え目をつぶってでも…進まなきゃなならない時が、
〈ねぇ、いとさん…〉
あるはずなのに―…
「なに？」
―私は…どんな人間に見えますか？