パレット 『夏でも小春日和』-4
《晶、行くな》
ガクッ
躰が嫌なほど大きくビクついた。ベッドが揺れる。
風が入り込む窓からは夕日が差し込んできていた。
躰中に汗をかいて、ベッドの中はサウナ状態だ。蒸し暑い。 先生に言ってシーツとか替えといた方がいいって言わないと。。
そういえば、あの声は誰だったんだろう。晶、行くなって。
ふと、下腹部に重さを感じた。誰が寝ているのか規則正しい寝息も聞こえる。
そーっと自分の下半身を見ると、そこには俺の下腹部に頭を乗せ寝ている昌仁がいた。
「!?」
し、心臓がはち切れるぅぅ!!
なんだこれ!?
この重ささえ幸せと感じてしまう俺って?
でも 起こすのも悪いしもう少しこうしていたい、なんて邪悪な俺の気持ちで。
レッツ 二度寝(三度寝?)いや。
また寝たら。昌仁が消える?
いや。
そうか。あの声は昌仁だったのか。寝言にすぎないにしても、ありがとう。昌仁。嗚呼、キスしてぇっ!!
だから。
次も大丈夫。きっと昌仁が助けてくれる。
今度も大丈夫。そう確信できた。
おやすみ―――――
―はーい先生大丈夫っすよ。なぁ晶。
―うん。
なんか勝手に返事してる?
―お前自転車こげるか?―ううん。
意識はあるのに寝ぼけてるよ、俺。昌仁はやっぱり気付かないんだ。
―じゃあしょうがないから。俺の裏に乗れよ。家まで送ってく。
―うん。お願い。
あら?二人乗り?嬉しいよ(´ω`)
―しっかりつかまってろよ?
―うん…
大きいな昌仁の背中。少し汗の匂いもする。
―アキ。俺ねぇ、好きな奴がいるんだぁ。
ああああ。また勝手な事をベラベラと。。
―お。そうか。誰なんだよ、そいつ。
―うん。それはね――――なんだぁ♪
なに?俺はなんて言ったんだ?
キキィィィーー
自転車が急ブレーキをかけたから俺は思わず昌仁の背中にしがみついてしまった。
―お前、それ。まぢ?
昌仁は前を向いたままだ。何がまぢなんだ。つーか俺は。まさかっ?!
言っ、ちゃっ、た。のか?ホントの気持ちを。
どうなんだよ自分!
どうなんだよ昌仁!!
― …………
どうやら自分はまた寝てしまったらしい。
これで良かったのか、悪かったのか。
昌仁はまた自転車をこぎ始めた。
―春のせいにしよう…
昌仁がそう小さく呟いた。
夏に入りかけているのにまだ春?
確かに桜は遅咲きだったけどさ。
片思いの
ドキドキが連鎖していく。
俺から昌仁へ
昌仁から俺へ。
無色の夢は、まだ見ている。