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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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保健室の小さな約束-8

あービックリした。
身なり整えてて良かった…。
悠はちゃんと校門の外に出られたかしら。

一歩玄関から出ると、涼しい風が頬を撫でていく。
さっきまでの悠の温もりが秋風にさらわれていくようで。
両腕で体を抱き締める様にして校門に向かう。

「美月先生」
声のする方を振り返る。そこには月明かりに照らされた悠が立っていた。

思わず、辺りに人影がないか見回す。そんな私の様子悠が小さく笑う。
「寒いの?」
「う、ううん。全然」
慌てて手を横に振って否定する。
悠の顔に『?』が浮かぶ。
あなたの温もりが逃げない様に抱き締めてました…なんて、口が裂けても言えないっ!

「送りたいけど、見つかるとヤバイし。気を付けて帰ってね」
悠が私を見下ろしながら言う。寂しい…なんて思っちゃいけない。
「うん、ありがと。じゃ」
軽く手を振って歩き出そうとした時、腕を引っ張られ抱きすくめられた。
「ちょっ…!」
「少しは寂しいって顔したら?こっちが寂しいじゃん」
自分の気持ちが見透かされた様で恥ずかしい。
「奏子、明日学校来るよね?生徒は自由登校だけど、オレは行くから」
温かい腕の中で頷く。

「また保健室で」

悠の低めの声が耳を侵していく。甘い、甘い呪文の様に…。

それだけで、熱を纏う私の体。どこか期待してしまう私の心。

肌寒かったのを忘れて私は月明かりの下、悠が去って行くのをただ見つめていた。

不思議と、もう寂しさはない。
悠との、“小さな約束”があるのだから―――。


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