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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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保健室の小さな約束-3

「先生ありがと、メガネしててくれて助かったよ」
悠が笑顔で言う。
「…どーいたしまして」
周りの視線を気にして、努めて冷静に答える。
…けど。
あー、まだ心臓がバクバクいってる…。色んな意味で。

「あはは、大丈夫ですかぁ?」
「…ええ、なんとか」
職員用のテントの前で、数学の沢田先生が笑いながら声をかけてくれた。沢田先生は爽やか系で女生徒から大人気の男の先生だ。妻子持ちだけどね。

「こんなに走ったの久しぶりですよ〜」
なんて笑って言いながら隣の救護用テントに向かう。
「いいな〜!先生。手を握って貰えて〜」
保健委員の生徒が騒ぐ。
「悠先輩って、美月先生に興味があるのかなー」
ギクッ…。
「まさか…。たまたまメガネが目に入ったんでしょ」
私の言葉に納得した様に、
「あー書いてあったのメガネだったんだ!」
女子生徒が屈託なく笑う。その笑顔に背を向けて。

…はぁ、ったく悠のバカ!
バレたらどうするのよ…。

でもきっと『美月先生が顔に出さなきゃバレないよ』…なんて、シラッと言われるんだわ…。
依然バクバクしている心臓をよそに、顔だけは平気そうに振る舞った。

「でも、最近あまり遊んでくれないみたいだよ。部活の先輩が言ってたけど」

ん?

「携帯のアドレスも消されちゃってるって」

…なになに?

「え〜!」
「本命が出来たんじゃないかって噂だよ!」
「やだー!」
真後ろで繰り広げられる噂話に、ダンボ耳で聞いてしまう自分。
なんだか情けない…。

…本命…、ね。

プログラムをウチワの様に扇ぎながら溜め息をつく。
悠と会ってると、携帯が鳴る事が多い。しかも女の子からが大半。
それはそれで仕方がないと思ってる。まぁ、あの容姿だし、モテないわけがない。それをとやかく言う程私は子供じゃないし。
悠は、『好き』とか『愛しい』とか『大切な人』とか簡単に口にする。
いくつになっても、そうゆう風にストレートに言葉にされると嬉しい。でも嬉しい反面、不安になる。

他の人にもそうなんじゃないかって…。
私だけに囁いて欲しい…、そう願ってしまうのは、私の我が儘なのかな。

私が悠にもう一歩踏み込めないのは、そんな所なのかもしれない。教師と生徒というだけでなく…。
悠の事を知ろうとして、傷付くのが恐いのかもしれない。いい年して臆病かな…。
お昼も過ぎ、体育祭も佳境に差し掛かった。
『1000mリレーが始まります。選手の方は…』というアナウンスが流れ、出場者がスタート位置に向かう。
クラス対抗1000mリレーは体育祭のハイライト。クラスから選ばれた精鋭五人によって行われる。

その中に悠の姿を見つける。
踝丈のジャージを膝下まで捲りあげて、裸足で立っていた。

応援席からは大歓声の渦。
それもそのはず。この競技は得点が高い為、どのクラスも必死になるんだそうだ。


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