『マニラバ!‐4』-2
「なんかアイツらいい感じだな」
教室から二人を見ながら、リョウが茜に言っていた。
「はぁ?アンタ本気で言ってんの?」
リョウは黙っていた。
そこへ舞が戻ってきた。
「ん?二人ともどうしたの?」
いや、何でもない――
茜とリョウは声をそろえて言った。
「今度の休み、先輩と映画に行くことになった」
舞は二人に報告した。
「そう‥」
と茜。
「楽しんできな‥」
とリョウ。
三人の間に重い空気が流れる――。
でもやっぱり舞は気付いていなかった。
その空気は一週間ずっと続いていた。
「ねぇ〜茜ちん。また最近リョウおかしくない?あたしまた何かやっちゃったかな?」
「知らんっ!!」
「えぇ〜っ茜ちん何怒ってるの〜?」
――リョウのヤツ、この間言ったこと全然わかってないんだから!
はぁ‥
茜はため息をつく。
ついに、舞と藤堂の約束の日は明日に迫っていた。
「じゃあね〜茜ちん!明日頑張ってくる〜」
ちょっと不安な表情をして帰っていく舞を確認してから、茜はリョウを探した。
「リョウ!アンタ本当にいいの?」
「‥よくないよ。だけど、どうしたらいいのか――。舞に言いたいこといっぱいあるんだけど、また強く言っちゃいそうで‥
ヤキモチ焼いてるんだ。俺って最低だよな‥かっこわるい‥」
「ホントかっこ悪いね!」
茜は怒鳴った。
「言いたいことも言えないで!
あたし言ったよね?素直になれって。
あれは思ってもないことを言うなって事だよ!
言い方なんてどーだっていいじゃん!キツイ言い方でもそれが本音ならっ!
リョウが前に舞に言った言葉、そのまま言う!
お前らしくないんだよ!」
――俺、舞を傷つけないようにと当たり障りのない事ばっかり言ってた。
くやしくて本当のことなんてこれっぽっちも言っていない。
これじゃ前と何も変わってやいやしない。
茜が怒るのも無理ない。
目が覚めたよ。