刃に心《第−2話・仁義なき恋愛〜後編》-8
「どうしたんですか?」
「あ、あのさ…疾風はどんな依頼でもこなしてくれるんだよな…」
「どんなというか、俺のできる範囲で…ですけどね」
「じ、じゃあ…アタシから依頼…」
千代子は顔を赤らめ、俯いた。
「と、友達になってください…」
俯いたままで言った。
ドキドキと心臓が脈打つ。
「もちろんです、チョコ先輩♪」
そんな言葉が頭上から降ってくる。
千代子は顔を上げることができなかった。
上げてしまえば、隠しきれないニヤけ顔を見られてしまう。
「それじゃあ、失礼します。また明日、学校で」
「う、うん…また明日…」
去っていく疾風の背中が見えなくなるまで、千代子は家の前でぼんやりと立ち尽くしていた。
早く明日になってほしい…
だって、明日からは毎日のように会えるのだから…
◆◇◆◇◆◇◆◇
───ブツッ。
「と、こんな感じにときめいてたわけですか」
「だって…仕方ないだろ♪」
「えー、此所でお便りが届いております」
『はい、あれは私がお昼ご飯を食べようと思って、屋上に行った時のことでした。
その日は、気温も高く、ぽかぽかとして気持ちのいい日だったのを覚えています。
私が暖かな陽射の元、お弁当箱を開いた時、ふと出入り口の上で千代子さんがお昼寝をしていたんですね。それを見た私は何故か面白そうな予感がして、出入り口の上へと登り、千代子さんの顔を覗き込みました。すると千代子さんが何やら寝言を言っているではありませんか♪
それはもう…恍惚とした声で…
「もう…何処見てるんだよ…♪あ…こら…変なとこ触るなぁ♪…ったく、疾風ったらぁ…あま「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
遮るように千代子の絶叫が響き渡った。
「ペンネーム、朧月さんからの投稿でした♪」
「言ってない!アタシはそんなこと言ってない!!絶対に言ってなぁい!!」
「……これは聞いてるこっちも恥ずかしいな」
「兄貴に聞かせたら、すっごくおもしろそう♪」
「やーめーろー!!」
「いいじゃないですか。もしかしたら、あの鈍感兄貴に火が付くかも♪」
「うっ…」
「そうダラダラと中途半端な関係を続けてたから、ライバルが二人も増えたんじゃないんですか?」
「ううっ…」
「ほらほらぁ♪どーするんですかぁ♪」
「うううっ…」
「こらこら…あんまり追い詰めるな」
「何言ってるんですか。こんなの私の中じゃ追い詰める内に入りませんよ。私が追い詰めたら、ホント、洒落にならないことになりますよ♪」
「……何故だろう。お前が言うとすごくリアルに聞こえるのは…」
ま、まあ…兎も角、残り文字数…いえ!残り時間が差し迫ってきましたので、最後に何か一言。
「え…?何?一言?
え、えっと…あ、アタシはこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。
具体的には、疾風との恋の成就♪それと、あの性悪女抹殺を!」
番外編はさらに続く…?